こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

私たち司法書士が相続業務に携わっていく中で、最も避けたいのが、遺産分割時において、相続人同士が揉めてしまうケースです。

もし、遺産分割において相続人間が揉めてしまうと、そこから相続手続きは一切進められなくなります。

そして、最悪の場合は、相続人同士で家庭裁判所の調停を求めることになり、長期間(※事例により概ね半年~3年程度)に渡る裁判にまで発展してしまいます。

被相続人の生前においてはとても円満だった家族でも、遺産分割によって家族内で紛争が起きてしまうことは決して少なくありません。

少し逆の言い方で表現してみると、相続はあくまできっかけで、それまで平穏だった家族・親族同士が抱えていた不満が、一気に爆発するといった状態とも言えそうです。

そのために、生前に被相続人が遺言等であらかじめ対策をしている場合であっても、残った遺族らが原因で、紛争が生じてしまうこともあります。

しかし、絶対に問題が発生しないとは言い切れないのが相続の難しい部分なのですが、遺産分割において気を付けるべき部分を知っていれば、ある程度は“争続”の発生を防ぐことも可能です。

ここでは、相続人が最新の注意をはらいながら遺産分割を行っていくべきポイントを、説明していきたいと思います。

目次【本記事の内容】

1.相続人同士の情報不足と思い込み

前回の記事のように、疎遠な相続人がいる際に遺産分割協議が難航するケースを紹介しましたが、それと同様に、やはり急所になってくるのが、お互いのコミュニケーション不足の部分です。

1-1.①相続開始直後の情報の少なさを知る

遺産分割で最も気を付けたいのは、遺産分割を行う前の話になりますが…、

・被相続人が遺言を書かいていない。

・相続人に対して、生前から遺産分割について何も情報を与えていなかった。

上記のような状況はかなり多いと思います。

当然、被相続人としても、予め自身の死後について話すことは、簡単なことではないでしょう。

実際に、自分の死後の財産にについて遺言を遺したり家族にあらかじめ話しておくのを嫌がる方は多いと思います。

この点、残された相続人側として、心に留めて頂きたい点は、上記のように、相続が始まった直後では、自分たちが何か判断しようにも、予想以上に正しい情報や判断材料が少ないという点です。

そして、遺産分割の迷走を防ぐためには、相続開始の初手の段階で、いきなり遺産分割の内容についてまで、話し合いが発展しないように親族間の歩調を留めておく必要があるということです。

遺言書捜索や、戸籍で法定相続人が誰であるかを把握し直すなどといったように、本格的な相続手続きを進めるための、準備する段階として、この時点で、専門家に声を掛けるかどうか検討してもらうのが望ましいでしょう。

1-2.②思い込みを一旦捨てる

そして、紛争発生の原因として、何故か一番多いタイプの原因がこちらだと思われます。

いわゆる、『相続争いはお金持ちの話でしょ。』『ウチには大した財産なんてないから大丈夫。』という思い込みです。

おそらく、何かのテレビドラマや劇作からの影響だと思われるのですが、これは完全に間違った情報です。

そして、尚且つ、この思い込みが原因で、何も対策をしていなかったというご家庭が多数存在していることからも、現在、多数の法律家や実務者が啓蒙的な情報発信をしています。

上記のように、『どうせ遺産は何もないから大丈夫。』『どうせ相続財産は少ないから、誰も親の財産なんかに期待していない。』と思われる場合もあるかもしれません。

しかし、相続にいて家庭裁判所に持ち込まれる事例の3割は1000万円以下の相続争いです。【※5000万(不動産価値も含む)以下まで含めると、実に75%程度まで拡大します。】

これは何故かというと、実務の面から見てみると、相続財産が少ないからというのが理由で、上記の“相続財産と法定相続人の調査“雑になっていることが非常に多いです。

そのために…、

“固定資産税の発生”や“不動産の管理責任”が予期せぬタイミングで発生したり、被相続人がお亡くなりになる際の“入院費用や葬儀代の負担”が曖昧になっているだけでなく、後になって“被相続人の銀行口座の使いこみ”が発覚することや、“無関係の人間が介入してくる”などの問題まで派生してきます。

一つ一つは小さなトラブルと言えそうですが、積み重ねの結果、他の相続人同士の不信感が大きくなり、相続争いに発展してしまう可能性が一気に拡大していきます。

その為に、相続の額の大小に関わらず、遺産分割の準備は迅速丁寧に進める必要があります。

2.連絡手段のミスで紛争が発生する

上記までは、相続初手の準備段階と心構えの面から、遺産分割が揉める原因を説明しました。

しかし、それでもなお、遺産分割が迷走したり、紛争に発展する場合もあります。

ここでは、実際に手続きに進む前の、連絡を取るタイミングで起こりうる状況について説明します。

2-1.③冷たい事務処理対応はしない

端的に説明すると、被相続人の死亡を看取った相続人が、遠方の相続人である方に対して、実際に会いに行くことも、何か言葉で呼びかけることもなく、いきなり手続書類のみを郵送し、印鑑(実印と印鑑証明書)を要求するなどの事例です。

その結果、その相続人が憤慨して争いになったケースもあります。

どうしても、忙しい社会人同士であるがために、多少のすれ違いも、ある程度は、仕方のない部分があるかもしれません。

しかし、このような感情面のすれ違いはかなり厄介です。

たとえ被相続人が遺言を残してくれていて、他の相続人も納得している状態であったとしても、いきなり蒸し返しが発生して、揉め出すこともあります。

やはり、手続き的には、印鑑を押してもらうだけだからといっても、郵送のやり取りのみで済ますのは、心象の上で好ましくありません。

可能な限り、実際に会って相続について話すべきですし、遠方であるなら、あらかじめ連絡してから送る方がよいでしょう。

2-2.④早すぎる専門家の投入には気を付ける

何故か相続人の中の誰かが先走り、最初から代理人(弁護士)をたててくる場合があります。

誤解を招いてはいけないので、説明させていただくと、相続人全員で代理人を選任すること自体は、揉め事を防止するのに最適な手段であるには間違いありません。

しかし、いきなり相続人の誰かが、まだ争いも生じていない状態で、代理人を選任してしまうと、他の相続人側も、どうしても身構えざるを得ない為、注意が必要になってきます。

例え、紛争が発生している以外の理由(例えば海外に住んでいる、非常に多忙であるなどの事情)で、代理人を選任することになったとしても、可能な限り、相続人同士の話し合いには相続人本人が連絡し、出席するべきです。(※特に最初の段階は。)

ある程度、相手に具体的な事情が伝わってから、専門に登場してもらった方がよいでしょう。(※当然、専門家の方に対しても、正確な状況をお伝えする必要があります。委任前の相談で、どのタイミングで登場すべきかも、アドバイスがもらえるハズです。)

2-3.⑤同居人や無関係者の介入を防ぐ

有体に言うと、話し合いに呼びかける相手を間違ってしまった事例です。

実際には、親族の中でも、誰が相続人になって遺産分割の当事者になるかは法律で決まっているのですが、ここに、法律上は全く関係ない人が介入してくることで、話がかなりややこしくなる場合があります。

遺産分割協議に、相続人以外の家族や他人(特に多いのが相続人の配偶者・事実婚の相手・元離婚相手)が参加をしてしまい、その人の口出しが原因で、争いに発展する事例はかなり多いです。

こちらからは呼んでもいないのに、何故かそうした相手が、向こうからグイグイ介入してくる事例もあるので、その時はさらに厄介です。

しかし、連絡を取る前から相続人の調査をしっかりしておけば、殆どは防げることが多いです。

2-4.連絡手段においてのまとめ

このように…、

相続人同士、お互いの考えが見えないために、相手に対しての不信感が発展てしまうケースが非常に多いです。

遺産分割においては、当然、被相続人が既にいないことを前提に、財産が絡んできますので、被相続人の生前時以上に、相続人の個人同士がコミュニケーションを取る必要が出てきます。

3.共有不動産と財産種類には気を付ける

ここはもう、ほとんど一般の方では、対処ができない内容の話なのですが、やはり相続財産の種類として不動産が関わってくると、相続処理はかなり難しいものになってきます。

3-1.⑥財産の特性を把握しておく

相続財産の特性から遺産分割問題に発展する可能性が大きいからです。

事例として、ここでは、相続人の一人が父親所有の土地の上に自宅を建ててしまっていた場合です。

これは、私が実際に経験した事例なのですが、かつて父親が所有していた土地(価値が約2千万弱相当)の上に、相続人の内は一人であるお兄ちゃんが家を建てていた状況でした。

相続人は、母親と兄妹の三人です。

この場合の相続分で遺産分割してしまうと、土地と若干の預金だけが相続財産になってしまうので、母と妹は、お兄ちゃんがの自宅が建つ土地の三人で分けて取得しすることになります。(母親2/4 兄・妹は各1/4)

母親と妹は、全く土地の使い道が無いばかりか、後々に兄妹の子供同士(この場合はいとこ)が、1つの土地を共有することになってしまいます。

もちろん、兄が母親と妹に相続分を金銭で補償することも可能ですが、相続発生時にタイミングよく、補償のお金を用意出来るかどうかは分かりません。

このように、純粋に遺産分割しようとしても、争いの火種が存在することは往々にしてあります。

なんとかこの事例では、もともと仲がいいご家族であったのに加え、母親には保険金が入り、幸運にも、妹さんにも多めの金銭補償を渡せることができたので、遺産分割が無事終了しました。

遺産が金銭の場合だけだと、あまり問題になりません。

しかし、そうではなく、例えば複数の不動産遺産があった場合などは、全て売却して金銭にできればいいのですが、売却せずに不動産のまま遺産分割するとなると、相続した土地の価格の違いによる相続人間の不平感がどうしても残ります。

更に共有の場合だと、相続手続きの範囲を超えて、土地の処分や管理に関する意思決定の難しさなど、問題が多岐に発展していきます。

4.まとめ

今回の記事はかなり長くなってしまいましたが、総じて言えることは、遺産分割は本当に些細なきっかけで争いに発展してしまう可能性があります。

専門家として、こんな事を云うのは申し訳ないのですが、“絶対にどんなことがあっても遺産分割が揉めない状況”などというものは、恐らくありません。

しかし、その中で可能な限り揉めないようにするためには、やはり被相続人が生前から、財産についての意思表明をし、遺言対策しておくことが重要です。

また、同時に、相続人同士の相続開始後のしっかりとしたコミュニケーションが最も重要になってきます。

今現在が良好な親族関係だからと言っても、それが相続開始後に紛争になっているということは、割とよくある話です。

どのようなきっかけで相続争いが起こるのかはわからないために、結果的に、中立的な立場で処理を進めることが出来る専門家が入るか否かでは、大きな違いが出てきます。

揉めない遺産分割を進めていくために、当事務所の司法書士が適正なアドバイスと手続きをさせていただきます。

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