こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

相続人となる方は民法で法制相続人として決まっています。

そして、遺産分割協議は法定相続人となった人の全員が参加して行われます。そうでなければ無効となります。

当然ながら、普段の親族付き合いが疎遠で、全く会ったこともないような相続人も遺産分割協議に参加しなければなりません。

この点、一つの家族内や身近な親族間での遺産分割協議であれば問題はなさそうですが、会ったこともないような相続人との遺産分割協議は簡単にいきません。

まず、相手の性格もわからなければ、どういった応対をしてくるか想像もつかないからです。

このような状況の相続手続きは、初動から重要な対応が必要になってきますので、慎重に進めていくべきです。

後述しますが、特に相続財産の中に不動産が含まれているか否かで対応方法が異なってきますので、是非、最後までお読みください。

目次【本記事の内容】

1.相続不動産の有無で対応方法を変える理由

相続財産が預貯金だけの場合であれば、疎遠な相続人にも法定相続分を金銭を分割すれば揉めることは少なく済むことが多いです。

しかし、もしも相続財産中に、不動産があれば十分にご注意をいただきたいところです。

例えば、被相続人名義の自宅不動産に、相続の発生後に誰かが住み続ける予定がある場合で想定してみましょう。

当然、この自宅も相続財産となりますから、遺産分割の対象にはなります。

そして、もし万が一、ここで疎遠な相続人が「その不動産を売却して代金で分割してほしい。」などと言ってきたら非常に厄介です。

実際には、ごく僅かな法定相続分の割合(10分の1や30分の1程度)であったとしても、その相続人に明確な権利がある以上は、そのような主張がなされる可能性は十分あります。

さらに厄介なことに、複数相続人がいたとしても、各相続人には、相続登記を独自で申請できる権利があるので、もし勝手に共有名義の相続登記申請されてしまい、その後、すぐに共有物分割訴訟でも起こされたら最悪です。

別段、誰も住む予定のない物件になるのであれば、そのまま売却して換価分割すればいいかもしれませんが、上記の例のように、自宅として誰かが住み続ける場合はそういうわけにもいきません。

相続財産に不動産が含まれている場合だと、このようなリスクを踏まえたうえで対応する必要が出てきます。

考えられる対応策としては、万が一疎遠な相続人が不動産の権利を主張してきた場合に、預貯金の額を多めに渡したり、代償分割の方法を使って金銭でバランスを取るしかありません。

そして、相続財産に預貯金がほとんどない場合であれば、代償分割の方法で相続人の誰かがお金を用意しなければいけないので、その準備が可能なのかまで、疎遠な相続人にコンタクトを取る前に検討しておく必要があります。

2.疎遠な親族に対する最初の連絡方法を考える

相手の住所や連絡先が分かれば、それを使って連絡を取ればいいかもしれません。

しかし、誰もその疎遠な相続人の所在を知らない場合は、住民票や戸籍の附票を取得して住所を確定させる必要があります。個人の方がこの調査を実施される場合、非常に難しい問題になってきます。

そのために、職権を使うことができる司法書士等へ相続手続きの諸段階から依頼をした方が良いです。

しかし、司法書士等から連絡先を確認したとしても、最初の連絡は専門家(司法書士等)からではなく、自分自身で手紙を手書きで書いて送った方がいいと考えられます。(※心象の上で、誰でも突然知らない士業者事務所から封筒が届くのは嫌なものです。)

良くない例として、専門家の中にも、いきなり遺産分割協議書を送りつけてくるようなことをする事務所もあるようですが…、流石にそれはお勧めできない方法です。

いきなり遺産分割協議書を付けてしまい『実印を押して送り返せ。』などと伝えても、相手を怒らせてしまうのは当然だからです。

ここは事務所によって、多少は意見が分かれるかもしれませんが、少なくとも当事務所からの提案としては、最初からいきなり財産目録等を添付して「遺産どうします?」などというようにするのではなく…、

まずは最初にお手紙で(※A41枚くらいの文章量で良いかと思います。)、被相続人の方が亡くなられた経緯と、相続手続きの協力を希望される趣旨と自分の連絡先程度の内容を送るのがいいと思います。

いきなり遺産分割の話をするよりは、まずは相続の事情を説明してから、連絡を待ってみる方がうまくいった経験があるからです。

3.当職の過去の経験として

ここでは、今までの私が相続手続きをしてきた経験則からお伝えします。

3-1.相続財産に不動産が含まれない場合の対応

※司法書士第29条及び司法書士法施行規則第31条に規定されている業務として。

不動産がなくて相続財産が預貯金しかないようなケースの場合には、だいたいは法定相続分割合の金銭を疎遠な相続人に支払って解決しています。

もちろん、そんな中でも、「私は相続分など必用無いから書類を送ってよ。」とか、「あまり関わりたくないから、書類が来たらさっさと印鑑して返送します。」といった様に、自ら穏便に身を引かれる方もいらっしゃいますが…、

それでも一定数、『いちおう法定相続分だけは貰っておこうか…。』という方も、それなりに多い印象です。

また、「法定相続分の割合をいただけるならご協力します。」といったご意見や、「一度事務所へ説明に行って話を聞かせてくれませんか?」といった回答をいただく相続人様もいらっしゃいます。

この点、さすがに、話の相手が司法書士のような国家資格者であったとしても、実際に会ってみないと、実印書類と印鑑証明書は渡したくないという気持ちは当方としても十分理解できます。

3-2.相続財産に不動産がある場合の対応

不動産が相続財産に含まれる場合の話ですが、経験上と言っても、実際には当事者同士の親族関係やご本人の性格、不動産の現況次第で大きく異なります。

ですので、正直なところは、ある程度の経験を積んだ今となっても、『やってみないとわかりません…。』と云うのが私の本音です。

例えば、これまでにも…、

・不動産の名義獲得は辞退して、預貯金の法定相続分だけ取得された方

・相続分一切不要として相続分の譲渡をされた方

相続放棄(家庭裁判に申述が必用)をご希望された方

関わりたくないとして、すぐに書類に記名押印して返送いただいた方

これを機に親族同士ご挨拶したいとご希望いただいた方

…等々、幸いにも、基本的には前向きな姿勢で、ご対応いただけた方のほうが多かったのですが…。

・『不動産を売却して代金を分けてほしい。』と言って来た方

・弁護士さんを通じて通知書を返してきた方

といった相続人様もいらっしゃいました。(※初期に紛争性が明らかになり、代理交渉が必用になった場合は、こちら側も弁護士さんを紹介することになります。)

もちろん、期待の上では、お互いに話を理解し合って、財産放棄もしていただけるなどは非常に良いのですが、中には事実として、弁護士を付けてしまう方もいらっしゃいますので、不動産が含まれる場合の相続は、本当に手続きの初動で気をつけた方がいいです。

3-3.一番心配なのは無視

実は、この話にはまだ続きがありまして…。

あくまでも、上記の内容は、少なくとも相手から何らかの反応があった場合の対処の事例を書いただけに過ぎません。

実際問題、一番こまってしまうのが、疎遠の相続人にコンタクトを試みたとしても、全く反応が無く、無視されてしまうことです。

返事が無いのが返事と言いましょうか?

ある意味で、完全に関わりたくないという意思の表れだとも取れるのですが、経験上、無視される場合もありました。

この場合は、時間を置いて、再度の手紙を送ってみることや、実際に、依頼者様にお願いして、相手相続人のご自宅まで赴いていただいたことがあります。

どうしても、相手がある話なので、仕方がないかもしれませんが、何らかの反応があることを祈って対応し続けるしかありません。

法定相続人が遺産分割協議に参加してくれない以上、相続手続きが全てストップしてしまうことになるので、不動産の名義変更はおろか、預貯金の解約(※一部、法改正で預貯金の引き出しは可能になりましたが…。参照⇒相続最初の問題、相続財産から葬儀代の引き出しは可能か?)すら手を付けることが出来ません。

4.まとめ

本記事でお分かりいただけたかと思いますが、相続が発生した時点で、疎遠な相続人がいらっしゃる場合は、思い通りの相続手続きが進められない事例が、かなり多いです。

特に初動での、相続人調査直後の動きは、今後の手続きに大きな影響を与えてきます。

もしも、相続人の中に疎遠な相続人がいる。被相続人との関係も疎遠だった。相手が何処に住んでいるかわからない等の状況であった場合。お困りならば、是非、当事務所へご相談してみて下さい。

問題解決に向けて、ご協力させていただきます。

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