こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、当事務所のご相談の中にも、『両親が離婚をしていて、疎遠にしていた父が亡くなったと連絡がきたのですが、どのように対応するべきでしょうか?』と、言ったような相談をいただくことがあります。

親の死亡は相続の典型例ですが、離婚した父親が死亡した場合には、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?

また、手続きも、具体的にどのように進めていけばいいのでしょうか?

今回は、“親が離婚して疎遠にしていた父親が死亡した場合の相続手続き』に注目してお話をしていきます。

1.データ上の離婚件数とその内容

下記、厚生労働省のデータでを参照にすると、令和2年の年間離婚件数は19万3251組でした。

令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況

平成14年の離婚件数の28万9836組をピークに、令和2年では19万3251組で、毎年減少はしているものの、それでも高い推移を続けています。

離婚の件数が減っているのは、そもそも婚姻の件数自体と、結婚可能な年齢の若年層が減っているからです。

また、その内実としては、夫婦間で子供の親権が争われた場合、家庭裁判所が親権者を判断することになりますが、実際の司法統計によれば、約90%の割合で母親が親権者に選ばれています。

特に、子供が小さい状態の離婚事案では、ほとんどの場合は母親側が親権を取得しますので、その結果として、疎遠にしている被相続人は「父親」であることの方が圧倒的に多くなります。

当事務所でも「親が離婚していて疎遠な父親が死んだので相談に来た。」という事例ばかりで、「離婚後の疎遠な母親の方が亡くなった。」という相談は、ほとんど聞いたことがありません。

2.親が疎遠である場合の問題点を整理

通常、被相続人となる親と、普段から連絡を取り合っていて、生活状況を完璧に把握できていたら特に、問題が大きくなることはないのですが、両親が離婚をしている場合にだと、どうしても疎遠となってしまうことでしょう。

この場合、主に以下の問題が生じてきます。

  • 1.相続財産が把握できていない
  • 2.借金や滞納金があるのかわからない
  • 3.重要書類の所在不明

通常の相続の場合だと、ある程度は、財産として、預金通帳や権利証などの、重要書類の場所を把握できていることが多いのです。

しかし、疎遠にしていた方が亡くなった場合、一切の情報がない状態のまま相続手続きを進めていかなければいけません。

借金や滞納があれば、場合によっては相続放棄を3ヶ月以内にしなければいけませんが、疎遠にしていた父親の生活状況が把握できていない以上は、その判断すらできないことになります。

このように、全てゼロからの手続きをスタートしなければいけないのが、疎遠親族の相続続きが難しい理由です。

3.再婚相手がいる場合はさらに厄介

ここから話を進める前に、 一応、相続人の範囲(法定相続人)を確認しておきたいと思います、

まず、前提として離婚をすれば、その人の元配偶者の相続権は失われます。

しかし、この場合でも子供には相続権が残ります。

たとえ親が離婚をしたとしても、実子であることには変わりはないからです。

相続人についての大前提ポイント

  • 配偶者は常に相続人となる。(※つまり、離婚すると相続人でなくなる。)
  • 以下の順で相続人が決まる。
  •  1.子供
  •  2.直系尊属(親・祖父母)
  •  3.兄弟姉妹

上記のとおり、子供は配偶者の有無に関わらず相続人となりますので、親が離婚をしていても第一順位で相続権を有することになります。

さらに踏み込んで答えると、もしも、離婚した父親が別の人と再婚をしていたとしても、その子供の相続権は残ったままです。

再婚相手の協議は難航することも

もしも離婚をした父親が再婚をしていた場合、その再婚相手と遺産分割協議をしなければいけません。

また、当然の事として、さらに再婚相手との間に子供が生まれていれば、その人も同じ相続人として、遺産分割協議に参加していただく必要があります。

この点、再婚して新たな家庭を築いて生活をしてきた家族側の立場にとってみれば、当然、父親が再婚後に自分達と築き上げてきた財産を、以前の血縁関係があるというだけで、相応分、取られてしまうことに、納得がいかない気持ちを持つことがあります。

その父親が、有効な遺言書などを残してくれている場合であれば、かなり話が変わってくるのですが、そればかりは被相続人である父親が準備してるかどうかが全てです。

もし離婚した父親が再婚をしていた場合には、遺産相続がうまく進まないことも、覚悟した方がいいかもしれません。

父親が孤独死した場合

上記の反面で、離婚後の父親が再婚をせず、一人で暮らしていた場合は、逆に「孤独死」の問題が生じることがあります。

特に、自宅内で孤独死されてしまうことで、当事務所でも「離婚後、疎遠だった父親が孤独死した。」と相談を受けることが増えています。

ここで詳しい解説は割愛しますが、孤独死の相続事案だと、さらに問題が複雑化してしまいます。

もし、離婚した父親が孤独死で亡くなった場合には、別の記事で詳しく解説をしますので参考にしてください。

4.実際に絶縁状態だった父親の財産の相続では?

完全な絶縁状態であり、父親が亡くなった事実は、突然病院から送られてきた書類で知ったという状況であることが多いです。

その他にも、生活保護を担当いしていた市の職員から、突然、連絡が来たなどのケースであった方もいらっしゃいます。

このような事情のため、父親がどこに住んでいたのか? 離婚後再婚していたのか? 当然、財産や借金の有無なども全くもって分かっていません。

そのような中でどのように相続手続きを進めていけばよいのか、そもそも絶縁状態だった父親の財産を相続するべきなのか、全て判断が着かない状態からスタートします。

父親の相続人の確定と相続財産の詳細を調査

相続状況が掴めていない場合には、まずは必ず以下の2つを把握しなければいけません。

  • 1.相続関係
  • 2.相続財産

これらは、絶縁状態だった被相続人の相続手続きを進めるうえで、非常に重要な情報ですから、以下、順に説明をします。

1.相続関係

まずこのように、面識の乏しい方の相続人になってしまった場合に把握しておくべき事は、被相続人(今回の事例で言えば父親)と自分がどのような関係なのか? 他に相続人は何人いるのか?など、被相続人の相続関係の全貌を明らかにする必要があります。

これをしないことには、全て始まりません。

他にどのくらい相続人がいるのか分からないのであれば、そもそも遺産分割の話し合いができませんし、仮に被相続人の財産を相続したいと希望されても、相続手続きが前に進まなくなります。

2.相続財産

次に、もう一つ把握しておくべきは、被相続人の相続財産の詳細です。

仮に何も相続財産を調査せず相続をしてしまうと、被相続人に多額の債務があった場合に、その債務まで背負ってしまい危険だからです。

特に相続財産の債務調査は相続をする前提として必ずやっておくべきことです。参照⇒相続債務の調べ方について、消費者金融の借金や住宅ローンなど

最低限、この2つをしっかり調査した上で、実際に相続をするのか? それとも、早めに相続放棄をするのか?までを検討した方がよいでしょう。

5.相続放棄の期限に注意しながら進める

被相続人が疎遠である場合の手続きは、相続財産が全く把握できていないケースが多く、同時に、相続放棄の3カ月の期間制限に注意する必要があります。

今回のような事例の場合だと、先に相続財産の債務調査を最優先に行い、相続財産に債務がない可能性が高くなった段階から、他の相続人調査に移っていきます。

もし相続人が他に存在した場合には、その相続人と相続財産の処分の方法について話し合いを重ねていくことになります。

この時に、例え大きな債務が無く、相応の相続財産が残っていることが分かったとしても、絶縁状態だった父親の親族とは揉めたくない、紛争に巻き込まれたくない場合をご希望される場合は、相続放棄を選択することも検討していきます。

逆に、父親の相続人は存在しなかったケースであれば、話し合いや紛争に巻き込まれる可能性は無いので、あとは相続債務以外の相続財産を調査し、発見した相続財産の相続手続きに移っていきます。

なお、相続放棄ほど短い期間ではありませんが、10ヶ月以内に申告をしなければいけない相続税の期限もありますので、基礎控除を超える規模の相続財産の有無を調べる意味で、その後の財産調査も迅速に行う必要があります。

6.予期しない相続には、迅速性と正確性が重要

相続手続きの中の、相続放棄や相続税の申告には期限があり、出来る限り早く手続きをする必要があります。

期間を徒過すると、必ずしも、手続きそのものが出来なくなるわけではありませんが、それでも別の書類が必要になったり、手間も費用も増えていきます。

また、上記に説明したように、疎遠状態の場合は全く会ったことがないような他の相続人との話し合いも必要になりる場合がありますので、相続人本人からしたら気苦労も多くなります。

そして、さらに厄介なことに、絶縁状態の被相続人の死亡の連絡は亡くなってすぐに来るとは限りません。

他の相続人の、相続放棄の連絡がきっかけで、知らされたり、生前の成年後見人から連絡がもたらされるケースであったりと、その初手の状況が様々なので、連絡を受けた状況によって対処を加える内容が、変わってくることが非常に多いです。

いずれにしても、あらかじめ準備できていない状態の相続手続きは、非常に厄介であることには変わりません。

仮にこういった事態になってしまった場合、スピードと正確性が必要となりますので、相続の専門家に任せてしまった方が安心です。

ネットで断片的な銀行手続きのやり方や、遺産分割協議書や、相続放棄申述書の書き方だけをマネしても、その判断リスクの割の高さと、全く釣り合いません。

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まとめ

このように、相続・遺言を解決する当事務所では、様々な状況に合わせて、相続手続きや遺言書作成について、相続手続きサポートさせていただきます。

当事務所では、突然相続のご依頼を何度も解決してきた実績もありますので、今回の記事のような事例でお困りでしたら、なるべく早期にご相談ください。

一括して相続手続きをサポートさせていただきます。

また、相続した財産に不動産がある場合のお困りも、当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 

相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

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