こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、相続した不動産を売却して相続人同士で分配するためには、その前提として相続人名義への相続登記が必要になります。

そして、さらにその相続登記を実施するためには、遺産分割協議書を作成する必要があります。

ここではその詳細については説明しますが、単に相続登記が出来ればイイだけの話などではなく、そこに換価分割の内容正確書かないと税務上のリスクまで生じます。

相続後の不動産を換価分割して相続人同士で分け合うには、どのような文言を記載すべきか?

また、書き忘れてしまった場合など、どのような問題が起きるのか?

これから換価分割(相続後の不動産売却)をする方がご覧になるのであれば、ここは是非、参考になさってください。

目次【本記事の内容】

1.相続登記の際は、代表者相続人1人の名義

前回の書きました、記事⇒不動産売却(換価分割)を前提とした相続登記について。の内容と重複するのですが、

換価分割をする際、既に相続した不動産を売却することが決まっている場合、複数いる相続人の中の代表相続人1人に登記の権利を集中される手法を用いることが多いです。

これは、売却代金を受け取る予定の相続人全員が、その割合のまま登記名義を取得するように相続登記を完了する方法もあるのですが、この場合、売買契約時から残代金決済まで、売主(相続人)として関わる者の人数が多数になってしまい、手続きが非常に煩雑になってしまいます。

そのために、目的としては不動産を所有することが目的なのではなく、売ってしまって、あくまでも便宜上、1人の代表相続人を不動産名義人にして、その方だけを売主にしてしまった方が、売買手続きがスムーズに進み、現金化まで話が早く進みます。

1-1.贈与行為にならないようご注意!

ただし、何も考えずに代表相続人名義へ変更してしまうと、それが贈与税の課税リスクにつながることがありますのでご注意を!

ここでは、状況例示を設けて説明をしてみます。

-例示のシチュエーション-

  • 被相続人は父親⇒相続人が兄弟3人(長男・次男・三男)
  • 父親の実家は空き家なので、換価分割を検討。
  • 相続登記は長男が代表相続人名義を取得。
  • 売却価格はそのまま3等分。
  • 3000万円で売却⇒長男が、次男と三男にそれぞれ1000万円ずつ振込みをした。

例示は金額も三等分できる単純な金額なので、分かりやすいかと思います。遺産分割協議そのものも、何もトラブルなく終わることでしょう。

しかし、当事者からは分かりにくいのですが…、ここで問題が1つ浮上してきます。

これを第三者や税務署からの視点として、客観的に見てみるとどうでしょう?

単に長男が次男と三男に渡した各1000万円が、それぞれ相続とは関係なく、個別にお金を贈与をしたようにも見えてしまうのが問題になってきます。

もちろん、相続人間で換価分割をしたと考えて、その結果、分配した2000万円であるのは間違いありません。

しかし、それはあくまでも、相続人同士の内情でしかなく、それとは別に、対外的にその次男と三人に渡した2000万円が、遺産分割の一環として行われたものであると証明手する手だてが別に必要になってくるのが問題になります。

結果として、もしも、このまま税務署から贈与扱いをうければどうなるでしょう?

このままだと、次男と三男が贈与税を支払うことになってしまい、無駄に税金を支払わらわされる原因になってしまいます。

次の項で、この点の税務リスクを回避する方法もありますので、続きをご覧ください。

1-2.遺産分割協議書の換価分割の文言を正確に記載する

 前述した内容を要約すると、対外的に売却代金の分配が贈与ではなく遺産分割の一環で行われたことが証明できないから、贈与税が課税されてしまうという話でした。

つまり、逆を言えば対外的な証明書として“遺産分割協議書”を準備すれば言いわけです。

実務的には殆どあり得ないのですが、法律上、遺産分割は口頭でも法律上の効力が成立するわけなので協議書を作成せずとも有効は有効です。

しかしながら、対外的(法務局・銀行など)に協議結果を証明するために、遺産分割協議書が必要になってくるわけですから、この点、協議書には遺産分割による“相続分の割合”という結果の部分だけでなく、その結果が、“売却代金の分配行為までが遺産分割の一環で行われた”旨まで照明するものである必要が出てきます。

この点は、実務でも非常に重要なポイントであるため、国税庁としても、この事実の周知の為に“照会要旨”をサイトで公表しています。

遺産の換価分割のための相続登記と贈与税 

【照会要旨】遺産分割の調停(※1)により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか。

(※1上記照会事例は、調停の状況を前提にしていますが、実務上の結果、遺産分割協議の場合も同様の趣旨であると解されます。)

【回答要旨】共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。

注記

 令和2年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。

 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

引用元:国税庁ホームページ 関連法令 相続税法第1条の4

1-3.遺産分割協議書の文言例

上記の国税庁の説明を実際の遺産分割協議書の事例として書いてみたら、下記の様になります。(※第2条の部分に注目)

遺産分割協議書

第1条
被相続人が所有する下記不動産につき、長男 山田 太郎が取得する。

不動産の表示…

~省略~

第2条
前条で取得した不動産を売却によって換価し、当該売却手続きにかかる費用を控除した金額を長男 山田 太郎、次男 山田 次郎、三男 山田 三郎がそれぞれ各3分の1の割合で相続する。

まとめ

今回は、換価分割を目的とした遺産分割協議書の内容について触れていきました。(全体像については⇒相続不動産を売却して賢く資産を持替。換価分割(換価処分)するまでの流れ。

もしも、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

特に、換価分割に慣れた司法書士へ相談をしておくことが、相続手続きを終えて、次の生活に踏み出していかれる相続人の皆様にとって、一番メリットのある選択肢になると言えます。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

 

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