こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、ここでは、相続の局面で遺産分割協議等が済んだ、その後のお話をしようと思います。

不動産の換価分割(換価処分)をするための流れについてなのですが、これは、これからの次の世代の方々にとって、適した資産の持ち方を検討していただくためお話としても、非常に重要な局面になってくるお話です。

目次【本記事の内容】

1.相続不動産を換価分割する全体像

換価分割するといっても、その全体の流れやスケジュール感がわかっていないと、どういったものなのか?イメージすることが難しいと思います。

まずは大枠を知っていただいて、その後に、各ポイントを知っていく方が、わかりやすいと思います。

ここでは、相続不動産を換価分割しようと思っているあなたの為に、換価分割の流れやスケジュール感についてご説明いたします。

また、不動産といっても個々の現況によってやるべきことは異なります。

特に、“戸建て”と“マンション”の違いで全く売却の流れは変わってきます。

当事務所の相談では地域柄なのか?比較的、戸建てのご相続の相談の方が多いので、便宜ここは“相続後の戸建て住宅を換価分割する事例”で説明いたします。

前提事例

被相続人は母親、子供3名(長男・次男・長女)の合計3名が相続人。

  • 母親が枚方市内、某駅近隣の実家(父親名義)に一人で暮らしていたが、心臓の病気で逝去。
  • 遺言書は無い。
  • 死後発見まで1週間経過。
  • 子供3名は既に独立、それぞれ持ち家を所有。
  • 誰も実家に戻って暮らす予定はない。

遺産分割協議の結果⇒空き家の管理など、今後のことを考えて、換価分割をしたいと相続人全員の意思が合致した。

【前提条件から注意すべき点は何か?】

  • 駅近隣なので資産価値が低く売却が不可ということは考えにくい。
  • 逆に、思いのほか地価が上昇して譲渡所得税が高額になる可能性も有り。
  • 戸建ての場合、相続土地に隣接する前面道路や接道、共有私道負担やセットバックなども考慮して確認すべき。
  • 空き家の特別控除は建物の築年数で適用可否が決まるので建物登記簿は早めに要確認。
  • 死後3日後の発見された事実が告知事項にあたるか判例等にてらして要検討。※いわゆる事故物件扱いになるの?買主に対する心理的瑕疵を回避するため。)

1-1.大まかな流れと各重要ポイント

相続人間で換価分割の意思の合致
※前提中の大前提。もし相続人中一人でも売却に反対した場合には換価分割できません。

情報を収集と方向性の決定 
・メインで意思決定を行う代表相続人の選定。(※誰を相続登記の名義人にするべきかも検討する。便宜的に代表相続人へ名義を変えるなら遺産分割協議書に文言を記載。)
・売却代金の分配割合を決める。
・相続した空き家の特別控除について適用の可能性を検討

専門家(司法書士or税理士)の選定
・司法書士に相続手続きを依頼するか検討。
・資産総額が高ければ、税理士に相続税申告を依頼するかも検  討すべき。

相続登記
・被相続人名義のままでは売却できないため相続人へ名義変更をする。
・司法書士から指示を受けた書類を取得。

売却の方針決定と業者選定
・現況売却か更地売りにするのか。(※更地売り⇒建物は相続人で取壊しする。※空き家の特別控除を利用する場合、建物取壊しは必須。
・建物取壊業者、遺品整理業者、測量会社、不動産会社までを選定。
・自宅内での死亡(1週間経過)につき告知事項もあることに注意。(※心理的瑕疵を回避する。)
・再び相続人間での売却意思の再確認をする。

買い手を探す
・買い手を探す。(※不動産屋さんに依頼。)
・どの程度の条件(価格・瑕疵担保・引渡し等)か?売買契約の内容をここらで確定していく。
・遺品整理業者や測量会社に依頼して引渡しの準備を進める。

売買契約後の売主義務履行
・相続人代表が売買契約を締結する。当然、その内容は相続人全員が理解した上で(価格・瑕疵担保、売主の義務等)、締結するのが望ましい。(※ここで売買代金の手付金を受領する。これはまだ使ってはならない。
・遺品整理、確定測量、建物取壊しなどの売主義務を引渡しまでに完全に済ませておく。
・もしも他の土地も一緒に売買するなら、上記と同様の手続きが必要、さらに売却不動産に農地があった場合は、転用の為の許可取得が引渡期日までに必要になる。(※行政書士の協力が必要。)

残代金決済(引渡し)
・引渡期日までに売主義務を履行、残代金決済を行い引渡しも実施。
・権利証や印鑑証明書を決済日までに用意。(※権利証は、上記の相続登記時に法務局から受領したものを使用、決済立会の出すタイミングは司法書士からの指示がある。)
・決済日、買主から売買代金を受領。
・代表相続人名義で売却する場合、ここで先に作成した遺産分割協議書の内容に応じて代金を分配する。(※不動産屋さんによっては、この時点で、相続人ごとに売却金を入金先ごとに配分してくれることもある。ただし、全員が着金確認をして決済現場の司法書士に報告しないといけないので要相談。)

代表相続人からの報告・計算書交付
・売買が無事完了したらその旨を相続人全員へ報告。
・売買代金から経費(司法書士報酬、仲介手数料、測量表題登記費用、銀行手数料、建物取壊費用、遺品整理業者代金など)を差し引いた計算書を作成し全相続人へ交付する。
※お金の計算は厳格な処理が必要!!

譲渡所得税の申告(※売却完了の翌年)
・不動産を売って得た利益に対する税金なので、相続税とは別の話。これも税理士へ依頼をするのか検討。
・譲渡所得税は、代表相続人だけでなく売買代金を受領した全ての相続人が申告する必要がある。
・相続した空き家の特別控除を適用させる場合の控除手続きも、ここで行う。
・譲渡所得税を各相続人がそれぞれ各自で納付する。

恐らくですが、当ページにアクセスしていただいている方の多くは情報収集の段階だと思いますので、上記の②の段階あたりではないでしょうか?

※もしわからないことがあればこのタイミングで当事務所にご相談いただければ、手続き上の流れで必要なこと、相続した空き家の特別控除の適用可否、全体的に想定される大まかな売却経費についての相談をさせていただけることと存じます。

また、お客様の事案に応じて、手配しなければいけない専門家や業者や、個別対応が費用な手続きについても、ご提案することが可能です。

2.どのみちまずは相続登記が…。

相続した不動産を売却するためには、相続人への名義変更(相続登記)が大前提として必要です。

非常に多い質問なのですが、亡くなった方から直接買主へ名義変更をすることはできませんし、そのまま不動産会社に足を運んでしまい話を聞いてもらえなかったというご相談もよくお受けします。

当然、ご相談をお受けになられた不動産会社さまも、お客様を無下に対応するつもりだったわけではありません。

相続と不動産が絡んでいれば、どこにいっても「まずは名義変更をして下さい…。」という話になってしまうのは、権利保全を目的とした法律の構造上、どうしても変えられない部分であったりすます。(※次の機会でも、この“換価分割”を前提とした相続登記について説明をしていきます。参考⇒不動産売却(換価分割)を前提とした相続登記について。

3.急増する“脱法相続ビジネス”には要注意です。

上記までの記事内容をご覧いただければ、ご理解はいただけたかと思うのですが、実際に相続に際して不動産を手放そうと思ったら、司法書士をはじめ税理士や不動産業者、さらに、土地の測量技術者などの協力が無ければ、その成立が非常に難しい取引になってきます。

しかし、そういった複雑さに付け込んで、実際は、何の“法務手続き”も“取引仲介”もするわけではないのに、“相続○○アドバイザー”やそれに類する民間資格を銘打って、個人の相続法務や相談業の中に介入してくる、法的な権限と責任の所在が、全く不明の“民間資格業者”からの営業活動も多数確認されてきています。

そういった業者と繋がりをもってしまい、相続紛争の相談をしてしまうと、例えば非弁護士法違反(弁護士法72条)に加担することになります。

また、相続による不動産の名義変更の相談を頼んでしまっても、同じく被司法書士法違反のような脱法行為に利用されるだけでなく、本来、全く払う必要の無い相談料や手数料を払ってしまったというに事態にもなってしまいます。

その手の業者が本当に司法書士や税理士、あるいは宅地建物取引士などの国家資格者なのか?

その業者からの取次が本当に必要なのか?

その見極めが非常に重要になってきますので、最初の相続の相談相手の吟味は、是非、注意しながら行っていただくことをおすすめいたします。

まとめ

今回も長い記事になってしまいましたが、相続からの不動産を換価分割をする場合は、最初の遺産分割の前から手続きの方針で、決めておかなければならないことが山積みになります。

難しいことに取り組むのは正直ハードルが高いので、『とりあえず相続人全員の名義を変更して…。』という、登記依頼でも、弊所としては嬉しいのですが…、

実際は、最初に方針だけを決めていただいて、相続の最初から出口までの総合事務を丸投げしてもらったほうが、無駄のない解決になります。

不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

特に、換価分割に慣れた司法書士へ相談をしておくことが、相続手続きを終えて、次の生活に踏み出していかれる相続人の皆様にとって、一番メリットのある選択肢になると言えます。

相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報


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