こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて今回は、相続物件で事故が発生してしまっている場合について説明していきたいと思います。

通常の不動産の相続と違い、事故物件の相続は物件の売却時や相続人自身に与える影響が大きいために、精神的・経済的どちらの観点でも負担になるからです。

事故物件の相続がなぜ大変なのか?

そして、事故物件の相続が発生した場合はどのような対応をとればいいのかを解説していきたいと思います。

本ページにて事故物件を相続した場合の処理方法について詳細に知ることができますので、もしも今、事故物件を相続された方がお読みであれば、是非最後ともまで読んでいただきたいと思います。

1.事故物件とは?

そのまま読んで“事故があった物件=不動産”のことですが、この場の事故とは死亡事故を指します。

事故物件⇒物件内で亡くなった人がいる不動産

しかし、そこから先の話で、亡くなり方も人それぞれなので、どのようななくなり方をされたかによって物件に与える影響度合いは変化します。

具体的には物件価格の値下がりに繋がります。

一番多いお亡くなりの状況としては孤独死なのですが、最悪、殺人事件の現場などになってしまえば最も物件価値を下げることになります。

殺人⇒ 自殺(火事など重大な事故) ⇒ 孤独死

事故内容が上記のように物件価格に影響してくるのは、将来的に物件を売却した際に買主に与えるであろ心理的な面を問題としているからです。

こればかり言葉だけで説明しきれるものでもありません。

そして、この点で厄介なのが、実は事故物件という言葉自体に明確な定義性があるわけではなく、市場性の上で評価されるために、捉え方がかなり曖昧だということです。

例えば上記に記載した事故などといっても、日常生活の延長上にある、食べ物の誤飲であったり、転倒事故のような不慮の死であれば、厳密には事故物件における意味での事故ではなかったりするので、取引の告知義務に当たらなかったりします。(参照:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

2.相続で事例が多いのはやはり孤独死

もしも不動産物件内で、殺人や自殺があった場合は、さすがにその不動産が事故物件になってしまうことは分かると思います。

今回、特によく考えていきたいのは、不動産で孤独死があった場合も事故物件についてです。(※不動産内で人が亡くなっているからと言って全て事故物件になってしまうわけではありません。家族に看取られていた場合など、単に家族が留守の間に亡くなっていた場合なら事故物件になりません。)

孤独死のように遺体の発見まで一定期間経過してしまう場合、事故物件になってしまうことがあります。

これには近年、報告件数が上がってきている孤独死の問題が影響しています。(※孤独死:死亡被相続人に親しい親族がいない、又は親族全員が遠方に住んでいる場合に生じる事故)

2-1.孤独死が関係する物件への心理的影響

例えば単身居住高齢者の場合、親しい親族が近隣に住んでいないと、亡くなった際にすぐに発見される可能性が低く、亡くなってから長期間経過してから発見される可能性がどうしても出てきます。

また、発見が遅れた場合、遺体は長期間放置されてしまうことになるので、この点、買主の視点で見ると購入を躊躇う要素になります。

また、心理的側面だけではなく、遺体の腐敗度合いによって建物自体の汚染として影響を及ぼすこともあります。

この点、買主の心理面に影響を与える場合、それは売却時の価格の値下がりに繋がります。ここで値下がりだけで済めばまだ良いのですが、一番の問題は、相続不動産物件については、元々市場評価が低くなってしまう傾向にあるために、事故物件に該当してしまった時点で、値段がつかなくなる(赤字売却)、あるいは引き取ってもらえなくなる可能性もあり、手放せなくなることで、相続人にとって相当な負担となってしまいます。

3.心理的瑕疵と売主の告知義務

不動産を売却する際には、通常、目的とする不動産に、建ぺい率、容積率、セットバック、接道義務や市街化調整区域など、不動産の建設目的や土地の利用方法に規制が掛かっているか否かの法律的瑕疵を必ず確認します。

次に、目的物が建物であれば給排水の故障、床・壁・柱等のシロアリ被害、躯体強度を確認し、土地であれば、土壌汚染、障害物が埋まっていないか等の物理的瑕疵を確認します。

この点、事故物件に該当するかどうかの問題は、心理的瑕疵として不動産取引で評価されることになります。

しかし、上記の法律的瑕疵物理的瑕疵ちがい心理的瑕疵については目で見て確認できるものでもなく、どんなプロの不動産屋さんであっても、 売主自身が瑕疵(事故)の事実を伝えてくれないかぎり、その存在そのものが分からない可能性ことが多いです。

ここで問題になってくるのが、売主の告知義務です。

正直な気持ちとして、少しでも高く売りたいと考える側の立場からすれば、事故物件の事実を知らせずに売却したいかもしれませんが、ここから法律の話になってきます。

もしかしたら不動産の買主の中には、購入する不動産で殺人事件があったり、長期間腐乱死体が放置されていても、全く何も気にしないという人もいるかもしれません。

しかし現実問題として、ほとんどの買主にとっては人が亡くなった家で暮らしていくことに抵抗を感じるものだと考えられます。

そうなれば当然、買主側にとっては過去に人が亡くなった事実は絶対に知っておきたいと考えるでしょうし、知らなければ買わないという選択も選んだはずです。

このように、事故物件の事実は買主側にとっても重要情報といえるので、売主にはその事実(事故状況や死亡経緯など)を買主に対して告げる義務が発生します。

これを、「売主の告知義務」といいます。

法的な問題はここからで、もしも売主が、この告知義務に違反して、買主に事故の事実を隠したまま売却すると告知義務違反となってしまい、損害賠償(民法415条)を請求されたり、最悪の場合契約を解除(民法541条・543条)されたりする恐れがあります。

4.黙っていればバレないか?

先ほども説明しましたが、買主や不動産仲介業者は、心理的瑕疵である事故を把握することが困難です。

法律的瑕疵は法務局や市町村などの関係機関で調査可能で、物理的瑕疵は不動産業者が目視で確認したり、インスペクション業者等に調査依頼すれば瑕疵が判明します。

しかし、心理的瑕疵の場合は売主が告知しなければ、瑕疵の事実が判明しない可能性もあるので、瑕疵の事実だけでも隠して価格下落をさせず、少しでも高く売却したいと考える人もいるかもしれません。

しかし、実際問題としては、実は多くの場合で告知をせず売却した後に、買主へ事実が知られてしまいトラブルに発展することが多いです。

4-2.事故物件であることは何故バレるのか??

実は、事故物件であることを隠していても簡単にバレてしまいます。

理由は簡単で、不動産仲介業者さんなどは、現地調査の際に再工事の承諾や近隣情報を得るために、近隣住民の方と挨拶を兼ねてお話をする機会があり、その際に事故の情報を確認することができます。

そのため、事故を買主等に告知しないで隠し通すという選択は非常に現実的ではありません。

特に殺人や自殺が起こり死者がでた場合、孤独死による遺体放置が発生した場合は必ず警察の調査が入ります。

その他、事故の当日に救急車が出動していた場合や、火災の場合であれば消火に消防車がきて不動産の周りが大騒ぎになり、高い確率で状況証拠が残ってしまいます。

こうなれば、不動産の近隣の方にとっても、その不動産で何らかの事故があったことは明白になるので、近隣住民に確認さえすれば情報がすぐに判明します。
特に、近隣住民とってみれば、近くで事故が起きていることなどのネガティブな情報は強く記憶に残ります。

このように、その不動産が事故かどうかは買い手側のプロの不動産屋さんが調査をすれば、高確率で確認を進めることができることが多いです。

そしてもしも、売主が事故物件の告知を行わず事故が判明した場合、買主側の意向によっては損害賠償請求や契約解除を要求される可能性があるので、事故を隠し通すことは考えない方がいいでしょう。

5.事故物件の売値値下がりは覚悟するしかない

最終的に事故物件であることの一番の問題は、不動産そのもの価値が下がることです。

事故の内容次第とはいえ、不動産の価値が落ちて価格がつきにくくなります。

ただそれでも売却し、空き家になった不動産を手放すことができるだけまだましだと考えられます。

より問題のあるケースは、元々不動産そのものが売れるかどうか分からないレベルの不動産が、事故物件になった結果、完全に買い手が全くつかず売却ができなくなる状況です。

こうなれば、実質的に空き家不動産と同じ問題を抱えてしまうので、不動産を所有しているだけで、固定資産税の支払い責任と、物的な管理責任を負わなくてはなりません。

そこから先は、別の記事でも紹介したように、相続人として事故物件を管理しなければならなリスクも考慮しつつ相続放棄手続きに踏み切るか?

それとも、売却費用がオーバーするのを覚悟の上で、相続登記を済ませたうえで、赤字でもいいので売却を進めてしまうか早期判断が必要になってきます。【※事故物件の売却で、特殊清掃等が必要になると、通常の売却よりも売却費用が高額になることがあります。】

まとめ

正直、今回の話は、不動産の価値が乏しい上に、その上に事故物件化というさらに厳しい条件が重なって発生する、少し特殊なケースでの事例のお話になりましたので、ご自身に当てはまる方は少ないかもしれません。

しかしながら、このような極めて不動産の手離れが難しいケースを事前に想定しておくことで、相続発生時のトラブル回避のために予備知識として、覚えて頂けると幸いです。

いずれにせよ、不動産の売却時には、先立っての手続きや相当の経費負担が発生します。

今回は説明を省略しましたが、建物解体作業伴う場合はかなりの高額費用が発生します。

もしも、相続開始の初期にご相談を頂ければ、売却に先立ちまして、不動産処分の全体像をお伝えすることが可能です。

相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

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