こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて今回は、相続した不動産が、相続が発生した時点で親個人の所有不動産ではなく、何故か相続が発生した時点の最初から、他の人と共有状態になってしまっている状態の手続きについて説明します。

これまでの記事でも、不動産を個人単独の権利として所有するのではなく、複数の人間で共有するリスクについては何度か説明させていただきましたが、最初から共有されている状態で、その特定の持分部分だけを相続してしまった場合にはどうすればいいのでしょうか?

今回は、不動産の共有持分を相続した場合に着目してお話をしてみたいと思います。

1.何故最初から不動産が共有になっているのか?

基本的に不動産は誰かが単有名義で所有する方が一般的です。

しかし、何らかの理由があって共有になっていることがあります。

まずは、どういった事情でで共有状態になっていたのか、不動産の登記事項証明書を見て確認する必要があります。

概ねは下記のような理由で共有になっていることが多いです。

  • 購入時に夫婦がお金を出し合って所有することになった。
  • 前回の相続手続きで、親族兄弟姉妹が法定相続のまま共有名義にした。
  • 前面道路など、私道の持分を近隣同士で共有している。
  • 住宅購入資金を親が出してくれた為の持分である。

他にもいくつか考えられますが、だいたいはこんなところではないか思います。

また、司法書士であれば多くの不動産登記簿を見ているので、登記簿を見るだけで共有となった経緯がある程度わかるので、この点からも早めに共有不動産については司法書士に相談することをお勧めいたします。

また、共有持分に過ぎないといっても、それ自体は相続財産に含まれますから、相続手続きは必要になりますし、相続税課税対象にも含まれてはきます。

以下、対策についてご参照ください。

2.共有持分の名義変更(相続登記)

共有持分だけを相続した場合も、単有の時と同様に名義変更をしなければいけません。

例えば、上記の事例のように、共有持分の相続相続と言っても、事例で最も多いのは、夫婦共有名義の不動産のうちどちらか一方が亡くなったケースであったりします。

2-1.夫婦共有の状態からの登記処理

例)夫婦が各2分の1で共有の場合に夫が死亡。

⇒この時の相続財産は夫の2分の1の部分のみである (妻の2分の1については相続財産ではない)。

⇒ご夫婦に子供がいれば妻と子供が遺産分割を、子供がいなければ妻と次順位相続人と遺産分割をして、この持分の移転先を決定。

⇒遺産分割協議が問題なく実行できるなら、そのまま妻名義に一本化することが可能です。

※場合によっては、妻ではなく子供へ持分を相続させることで、妻の相続財産(二次相続分)を増やさずにすみますので、財産規模の大きいご家庭であれば、あえて子供世代との共有を選択することもあり得る。

このように、一口に不動産共有といっても、比較的近しい親族関係であれば、遺産分割協議をすぐに執り行うことで、問題を最小限にすることが可能です。

しかし、そう簡単にいかなない部類の共有問題もあります。

それが、全世代の一次相続から、兄弟姉妹(この場合は叔父叔母)や、その他家族以外の親族など、他人との共有状態になった場合です。

この場合でも、相続が発生した共有物分に対して、相続登記が必要になります。

そして、その結果、当面は自らと他の親族である叔父や叔母、場合によってはその子らである従姉妹等との共有状態として不動産を所有していただくことなります。

上記のように、夫婦共有など、あくまでも単一の家族ないでの処理は比較的に問題なく処理できることが多いのですが、家族間を超えた親族共有になってくると問題の難易度が一気に高くなります。

3.問題は他人や疎遠な親族との共有状態!

実は同じ親族でも、叔父叔母や従兄弟(従姉妹)との共有関係の整理はかなり難しいです。

不動産の管理責任や、居住上の権利を整理したり、多くの場合は空家になっていての手放しをご希望される方も多いのですが、こと問題になるのは、全員が当事者であるにもかかわらず、問題意識のばらつきが大きく、全員が共有状態の解消に協力してくれないケースが多々あるからです。

特に、当事務所でも、ご自身でインターネット等で空き家不動産や相続登記義務化に対しての危機感を募らせて、相談に来られるお客様は多いのですが、他の共有状態の当事者である方自身が、ご自身も関係しているハズの不動産管理について、まったくの問題意識を持たれていない場合も多く、この危機感の温度差が互いに紛争に発展する危険性をもっている場合があります。

特に酷いケースでは、叔父や叔母である方が未婚状態や子供がいない場合などで『自分が死んだら後は関係ない。』ということで、所有不動産の現状と責任に向き合う事を完全に放棄される方もいます。

そのまま遺産分割協議や持分の譲渡契約が出来ない場合は、そこから先の相続登記が実施できないことが出来ないことになり、結果的に、その先の売却などで不動産を手放すことも不可能になります。

共有状態の最大のリスクは、権利上共有している不動産の持分所有者の全員が、遺産分割協議や売却手続きに協力してくれない事には、先の処理が何も出来なくなる点です。

つまり、疎遠な状態との親族や、全くの赤の他人など、意思疎通すら困難な人間と不動産を共有することになった場合は、殆どが処分方法が残されなくなる怖さがある点です。

3-1.親族が共有状態解消に協力してくれる場合。

もしも親族が不動産を自らの単独所有物として引き受けて下さるならば、問題は一気に解決します。

事例としては、不動産が父親とその兄弟姉妹との共有状態であった場合を指します。

この場合は、先ず最初に共有持分のみについての相続登記を行い、共有者全員を現在世代の方の名義として、統一します。

そして、その次に、持分を集約する人を登記上の権利者として、また、持分を手放す人を義務者として、各々の持分を一本化する為の持分移転登記を申請します。

分割されている不動産持分に対して、贈与契約や売買契約などを名目に、持分を譲渡する契約等を結んでいただき一本化します。

その際は、贈与税や不動産取得税などが派生する可能性があるのですが、不動産の物件価格に応じた、税理士の確認が必要になります。

また、状況に応じては不動産を所有したくない方に相続放棄をご検討いただく等、親族全員が不動産の処分に対して協力的な体制であれば、かなり柔軟な対応がとれることが多いです。

【※相続放棄については、申述期間がある点と、不動産以外にも預貯金現金等の全部資産まで放棄を意味しますので、事例に応じた厳密な検証が必要です。】

さらに、相手方の親族もその共有不動産について住む予定が無い場合で、かつ、その処分について乗り気である場合なら、単純に共有当事者を全員とした売主として、不動産を売却してその処分費用と売却金を分配すれば、一番問題は早く解決します。

3-2. 親族が共有状態解消に協力してくれない場合。

当サイトをご覧のお客様であれば、自ら積極的に不動産の共有状態解消、または不動産の空き家処分について、積極的に情報収集されている方で、問題意識も高い方も多いと思います。

また、何よりも、お子様がいらっしゃる方であれば、自分たちの次の世代に、登記未了問題や不動産事故のリスクを残したくないが為に行動されてる方も多いと思います。

そしてその上で、他のご親族様が、全く自分の話を聞いてくれない、又は、偏った知識や、『差し当たって今現在何も起こっていないから、手続きなど必要ない。』などと反論してきて、全く話が進まないといった相談も非常に多くお受けしています。

また、単に当事者が協力的でない場合だけでなく、久しぶりに連絡を取ってみたら、叔父や叔母が既に認知症にかかっていた場合などで、当事者の意思とは関係なく、手続きが出来ないケースもあります。

当事者が認知症の場合であれば、未了の遺産分割協議や売却・贈与の譲渡契約のために、成年後見制度等の利用も検討しなければなりません。

そして、もしも親族が共有状態解消の為に行動できるにも関わらず、非協力な態度をとる場合であれば、登記の状況や相続関係を精査した上で、弁護士に相手親族への交渉依頼をして、場合によっては“登記引取請求訴訟の中での共有持分放棄”“調停申立”“共有物分割訴訟等”の裁判も辞さない態度で臨む必要もあります。

この場合、もちろん自分の知らないところで、最初から共有状態であった不動産を承継せざるをえなかたご相談者様自身は何も悪くなく、テキトーな相続手続きをして、問題を次世代の方に押し付けてしまった前世代の方々が一番悪いのですが、もはやこればかりは時間が戻ってきません。

不動産の管理状態にもよるのですが、例えば、すでにかなり老朽化が進んでいて、空き家問題としての前提で、共有状態を処理しなければならないなら、早期に不動産登記関係業務と連動している弁護士事務所に相談する必要が出てきます。

【また、老朽化が問題にはなっていなくても、空き家が売れるうちに処分する方向で動いていただき、その結果を訴訟費用に当てていただいたほうが良い場合もあります。】

この場合、当事務所では、訴訟費用との問題から、 共有者から不動産持分を取り上げる方向で訴訟を提起すべきか? 【それとも敢えて、共有者に自分の持分を引き受けてもらう方向で、対応をすすめるのか?】

提携先の弁護士との連携のもと、状況に合わせた処理方針を決定し、さらに不動産業者とも連動しながら、将来的な売却益で弁護士費用等を捻出できるか?など多角的に検討した上で不動産の共有問題解決に全力を注いでいます。

当事務であれば、ご相談の早い段階で、このような複雑な親族間(他人間)共有に対応してくれる、弁護士事務所との連携の上で、“登記+訴訟+売却”という総合的な観点から、問題に取り組むことも可能なので、是非ご相談ください。

まとめ

正直、今回の話は、世代間を超えたところに原因である、特殊な事例でのお話かと思われますが、開業以来かなり相談を頂く事例が多い問題です。

本来的には早期に解決しておくべき問題であったものが、20年、30年の時間を超えて、二次相続がきっかけになって、現役世代の方々が被害を被る形で顕現化した問題であることが分かります。

原因は、前世代の方が、不十分な知識でなされた相続登記の本人申請であるケースや、司法書士や弁護士以外の違法受任者【※法律に詳しいと名乗る一般人等】に安価で相続登記を依頼された場合であることが多いのですが。

結局のところ、これらの問題を修正できるのは、多重権利化した登記に対応できる司法書士と、訴訟業務だけでなく、登記関係業務とも連携可能な弁護士だけになってきます。

また、いずれにせよ、共有解消後の不動産の売却時には、先立っての手続きや相当の経費負担が発生します。

今回は説明を省略しましたが、訴訟費用が赤字になるケースも多く、空き家の建物解体作業伴う場合もかなりの費用が派生します。

もしも、問題の初期にご相談を頂ければ、売却や弁護士へのお繋ぎに先立ちまして、不動産処分の全体像までお伝えすることが可能です。

相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

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