こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

これまでは当サイトでは、相続が発生したら、被相続人が持っていた財産を相続人同士で遺産分割協議をするなど、何らかの形で相続発生後の手続きをする前提で、お話を進めてきました。(参考⇒相続財産(遺産)の分け方、遺言か遺産分割協議か?大まかな流れ

では逆に、遺産分割をしないまま放置してしまった場合のデメリットはあるのでしょうか。

可能であれば何もしないで、放置しておいてもいいものなのでしょうか?

本ページでは、遺産分割をしないで放置した場合に起きる問題点をまとめてみました。

目次【本記事の内容】

1.遺産分割や登記申請そのものには期限は存在しないが…、

あくまで現在(2021年3月時点)での話です。

実は、遺産分割をいつまでにやらなければいけないとか、不動産登記法上、いつまでに相続登記を申請しなければ、、何かの罰則を受ける等といった現行法の規定はありません。

これまでの法律の考え方としては、被相続人が所有していた財産は、相続開始時(死亡時点)において、相続人全員に法定相続分の割合で民法上承継されていきます。

そして、遺産分割が成立したと同時に、遺産分割の遡及効(遡って生じる効力のこと)により、相続開始時に、当該遺産分割の内容で相続人が財産を承継したことになります。

この考え方をベースにすれば、例え遺産分割をしなくとも、財産は法定相続人へ承継されていることになります。

もし、遺産分割が成立すればその効果は死亡時に遡るわけですから、あえて期限や罰則を設けて遺産分割を強制する必要もないとしていたわけです。

このため、遺産分割やその後の登記申請にも、期限等はありませんので、相続人全員が必要なタイミングで遺産分割をすればいいことになります。

2.相続登記の義務化が始まる

しかしながら、今年(2021年2月2日)、国会の法制審議会の民法・不動産登記法部会にて、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」を決定し、2月10日に法相に答申がなされました。

この要綱案の一番の柱となる部分は、「相続登記」「氏名又は名称及び住所の変更登記」義務化です。

政府は今国会での関連法案提出を目指しており、法案が成立すれば2023年度から施行される見通しになります。

主な理由としては、相続登記が放置されていることが原因となり、不動産所有者の不明問題が深刻化し、国や自治体との関係では「公共用地として買収ができない」「災害対策工事が進められない」といった問題が起きており、また、民間同士でも「売買ができない」「活用ができない」という問題が多発しているからです。

また、これまで任意だった相続と住所変更の登記申請が義務化されることにより、相続は土地の取得を知ってから3年以内、住所変更は2年以内に申請しなければならないとされ、これに違反すれば、相続は10万円以下、住所変更は5万円以下の過料を設けられることになります。

2-1.民法の改正も視野に入っている

上記の改正案は、不動産登記法に関する内容ですが、同時に関連する民法も改正される見込みです。

「相続開始から10年間遺産分割がまとまらなければ法定相続とする」などです。(参照:法制審議会民法・不動産登記法部会第8回会議 令和元年10月8日開催

もちろん、現時点で相続登記や変更登記が未了となっている不動産が、すぐに登記義務化の対象となるわけではありません。

しかし、遅かれ早かれ改正法施行後に相続や住所等の変更が生じればその対象となります。

もしもその際に、既に何世代にも渡って登記が放置されていたりすると、必然的に、正しく登記が完了するまでに、相当な時間と労力を要することになってしまいます。

また、法定相続人の中に、認知症等で判断能力に問題が生じている方がいて、成年後見制度の活用が要されることになったり、未成年者が含まれ特別代理人の選任関与が必用になってくると、こちらもかなり大変な手間と費用が発生することになります。

現段階で、相続が発生したという方でも、改正法が施行されるまでの間に、専門家に相談のうえで、極力現状に即した正しい登記内容にしておくことが必用になるでしょう。

3.遺産分割以外の相続手続きには期限がある

上記のとおり、現時点では遺産分割に期限が存在しないことは説明しましたが、他の相続手続きには期限が存在するものがあります。

それは、相続税の申告です。

相続税申告は、被相続人の死亡から10ヶ月以内にしなければいけません。(参照:国税庁 相続税の申告と納税

もしも、相続税の申告が必要な相続であると、上記のとおり、遺産分割そのものに期間制限がないとしても、この申告期限に間に合わせなければいけない為に、放置しておくことが出来ません。

事実としては、相続税が発生する方の手続きは、この相続税申告の期限により、遺産分割を行うことを強制されているような状態です。

もしも、遺産分割が間に合わなかったとしても未分割でとりあえず申告する方法もあります。しかし、結局は後ほど修正申告をする必要がありますので、最初から期限内に遺産分割を成立させて、相続税の申告に間に合わせるべきでしょう。

仮に期限までに相続税申告をしなかった場合、各種控除や特例が使えなくなる恐れがあります。

また、納付が遅れにより延滞税や加算税まで発生するので、早期に税理士と連携し、期限内に必ず申告を終えなければなりません。

4.相続手続と社会問題

相続手続き、とりわけ遺産分割は、あくまでも当事者達(相続人)だけの問題だけと考えられがちです。

しかし、実はそうではありません。

遺産(とくに不動産)の権利は早く確定させないと、結果的に“空き家問題”や“土地所有者不明問題”となり、対外的に社会問題を発生させている原因になっています。

実際に、空き家等の多くは、遺産分割が放置されていたことに起因しています。

その為に、遺産分割は相続人同士の問題だけでなく、対外的な側面を持つことも留意しつつ、早期に遺産分割をして権利を確定させるべきでしょう。

5.まとめ

ここまで解説をしてきたように、現在のところは遺産分割に期限は存在しません。

しかし、なるべく早期にやっておいたほうがいいのは確かです。

相続税申告に間に合わせるために行うのもそうですが、早期に遺産分割をして権利を確定させるということは、なにより親族同士の紛争を未然に防ぐためでもあります。

そのため、遺産分割は相続手続きの最重要部分と言えます。

もしも、遺産分割から一括して任せることができる事務所をお探しなら、是非当事務所までご相談ください。

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