こんにちは!枚方の司法書士、尾花健介です。

最近は空き家物件がカナリ増えてきています。

もう社会問題ですよね。

とは言え解決策も全くないワケでもないみたいで、最近は空き家になっている不動産を格安で手に入れてDIYで改修して住んでみたり。

あるいはキレイに改装した後で転売したり、民泊に転用して、副業として事業化されている方もいるようですね。

また、新築で家を購入するとなったら数千万と普通にかかってきますが、空き家不動産であれば数十万円で取引が済んだりします。

当然、仲介手数料もそれほどかかりませんし、場合によっては個人間としての不動産取引として完了されるケースも多いでしょう。

現実的に、数千万単位の財産価値が伴う不動産であれば、当然、それに伴って対抗関係が重要になってきますから、取引には仲介業者さんが売買契約書を用意して、重要説明事項も読み上げる必要性が高まってきます。

同時に、決済時においての登記申請についても、司法書士が立ちあうことで紛争性の予防に繋げるなどの工夫が必要です。

融資の関係で銀行が関わる取引であれば猶更、関係者全員の権利保全のために司法書士が必要になってくるでしょう。

とは言え、ここで想定するのは買主と売主間だけで極めて少額の不動産取引です。

ややもすれば、取引価格に比べて司法書士費用の割合がどうにも高いと感じるならば、一度、自分で所有権移転の不動産登記を申請してみるのもいいかもしれません。

注意※ もしも、大家さんや不動産等の業として、反復して不動産の売主様から依頼を受けて複数の登記申請をするのであれば、司法書士法違反になる恐れがあります。

参照:司法書士法条文

(業務) 第2条

司法書士は、他人の嘱託を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

二 裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成すること。

(非司法書士等の取締り) 第73条 

司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

それでは、さっそく本題の所有権移転の方法について話を進めてみます。

目次【本記事の内容】

1.所有権移転の登記申請

端的に言えば、所有権移転と題した申請書にいくつかの添付書面を引っ付けて、それぞれの不動産の管轄法務局の窓口に書類をまとめて提出するだけです。

とは言え、いくつか分かりにくい部分もあるので、申請書を作るうえでの中身とやるべきコトの手順に沿って説明していきたいと思います。

1-1.必要書類

先ず、必要なものはこれです。

・売買契約書

・登記事項証明書

・不動産の評価証明書または公価証明書

・登録免許税として収入印紙

・登記原因証明情報

・申請書

・売り主側の印鑑証明書

・登記識別情報または登記済証

・住民票

・権利者(買主)側だけで提出する場合は委任状を作成する。

そして、ザックリ説明すると手順は下記の10ステップで簡単にまとめることが出来ます。

申請対象の不動産を登記簿上で確認

登録免許税を算出する。

売買契約書を元に登記原因証明情報を作る。

(③-2買主一人で法務局に提出する場合委任状を作る。)

申請書に②の登録免許税と③の登記原因を書き込む。

申請書に押印をする。

申請書に添付書面をホチキスでとめる。

気になる人は受領証と原本還付の準備をする。

窓口で提出

完了証と登記識別情報を受け取る。

新しい登記事項証明書で確認をする。

ここから各手順について1つずつ詳しく説明します。

1-2.申請対象の不動産を登記簿上で確認

売買契約書を作るにしても正確に不動産の所在と地番を載せなければいけないので、登記事項証明書は必須ですよね。

仲介業者さんが関係していれば見せてもらえるハズですが、個人間取引で、しかも自分で登記をするならば、自分自身で対象の不動産の登記事項証明書を自身で取得して、最新の情報で不動産の状態をキチンと確認しておく必要があります。

取引は済ませたけれど、知らん間に差し押さえが入っとるやんけ~!?なんてことも考えられます。

取引開始時点で、最低限の情報収集として、自分自身で登記事項証明書を取得して不動産の状態を調査しておきましょう。

1-3.登録免許税を算出する。

上記に記載した必要書類のウチの評価証明書、または公価証明書を使って、所有権移転の申請書に記載する登録免許税がいくらなのか計算します。

計算方法は簡単なんですけれども、よく自分で登記したいという方で、一番確認のために聞かれることが多いのがこの不動産の価格の部分であったり、登録免許税の計算の部分だったりします。

相談を受けた方の中には不動産の取引上の売買代金を申請書に記入して申請しようとしていた方もいました。

また、ここで算出して申請書に記載した登録免許税は、相当額を収入印紙として購入しておき、申請書に貼付けして窓口に提出する必要があります。

評価証明書と公価証明書は不動産の所在地である各市町村の納税課で取得できます。

また、評価証明書と公価証明書は、現時点の持ち主の名義で管理されているので、買主側の方が自分で登記しようと思っていても、売主側の方に協力してもらわなくては取得できません。

個人間の売買であるならば、不動産の売買契約をする時点で、最初から取得して持ってきてもらうのが良いかと思います。

そして、登録免許税の計算方法なのですが、評価証明書または公価証明書に記載してある不動産の“価格”の項目にあたる部分の金額を1000円以下で斬り捨てして、不動産が土地の場合はそこから1000分の15【※建物の場合は1000分の20】で掛け算した数値を百円以下から斬り捨てた金額が免許税になります。

言葉だけでは分かりにくいので事例を示してみます。

評価証明書または公価証明書に記載の“価格”が¥17,561,575-だったとしましょう。

まず、ここから千円以下を切り捨てます。⇒¥17,561,000-

次に、この数字に1000分の15※の掛け算をします。

【※原則的には1000分の20で計算するのですが、土地のみに関しては租税特別措置法72条1項という特則が作られているため、現時点では課税価格が少し安くされている状態です。】

17,561,000×1000分の15=¥263,415-

最期に¥263,415-の金額から百円以下を切り捨てます。⇒¥263,400-

この金額をあとで作成する所有権移転登記申請書に記載して、同額の収入印紙を用意する必要があります。

1-4.売買契約書を元に登記原因証明情報を作る。

そもそも「登記原因証明情報」とは何か?ってトコロで深堀するとそれだけで記事がかけるので、ここでは実際に所有権移転登記の申請書を作るうえで最低限知っておいたほうが良い部分に限って説明を加えます。

簡単に添付書面としての概要を説明すると、『登記の原因となった事実又は法律行為に基づいて、現実に権利の変動が発生したことを証明する情報』と言えばいいでしょう。

さらにかみ砕いていうと、『不動産登記って何の根拠や事実の裏付けもなく、不動産の持ち主の名義を勝手に書き換えられるものではないから、登記の申請行為の前に、不動産の持ち主が変わる原因と言っていい法律行為があるハズなので、それを証明する書類を提出しなさい。』とう感じでしょう。

売買による所有権移転登記の登記原因証明情報を作成する場合には、以下のような内容を記載することになります。

登記の目的

「登記の目的 所有権移転」と書きます。

登記の原因

「登記の原因 ○年○月○日売買」と書きます。

当事者

権利者(買主)、義務者(売主)双方の氏名を書きます。

権利者(甲)○○○○、

義務者(乙)○○○○、といった形になります。

不動産

登記事項証明書(登記簿謄本)等を見ながら、不動産の所在、地番(建物の場合は家屋番号)、種類、地積(建物の場合は床面積)、評価証明書の価格を記載します。

登記の原因となる事実又は法律行為

いつ売買契約が締結されたかを記載し、所有権移転時期について特約(下記の⑵と⑶のような例)がある場合にはそれについても記載します。

さらに、実際に権利変動が生じたことを証明する情報も書きます。

具体的には、以下のような記載になります。

(1) 甲と乙とは、○年○月○日、上記不動産の売買契約を締結した。

(2) (1)の売買契約には、本件不動産の所有権は、甲が売買代金を支払い乙がこれを受領したときに甲に移転する旨の特約が付されている。

(3) 甲は○年○月○日乙に売買代金全額を支払い、乙はこれを受領した。

(4) よって、本件不動産の所有権は、同日、乙から甲に移転した。

日付・提出先

登記申請書の提出日を記載し、「○○法務局(○○支局、○○出張所)御中」と書きます。

申請する不動産の管轄法務局が何処なのかは、法務局サイトをみれば確認できます。

当事者の署名・押印

「上記の登記原因のとおり相違ありません。」と記載し、甲、乙それぞれの住所・氏名を記載し、義務者側である乙が押印します。

この場合、義務者側である乙は委任状に押す実印であることが望ましいです。

1-5.買主(権利者)に申請行為を委任するための売り主の委任状を作る。

※買主と売り主が揃って二人で、法務局に申請書を持ち込む場合は必要ありません。

参照:法務局サイト

※尚、買主に登記申請を委任するというコトは、売り主さんは決済後に、こちらの委任状とともに、個人の印鑑証明書の原本を信用して買主に預けることになるので、本人申請登記に関して買主が何か別のコトに売り主の印鑑証明書を悪用したとしても売り主側の自己責任になります。

なので、買主側に印鑑証明書を預けるに足る信頼関係がなければ、売り主は法務局まで買主と一緒に足を運んで、買主が用意した申請書と一緒に印鑑証明書をその場で提出する手間が必要になってきます。

委任状には登記に関する委任事項として下記のような条項を記入しておいて、印鑑証明書とおりの実印で押印するようにしてください。

①登記申請書を作成すること及び当該登記の申請に必要な書面と共に登記申請書を管轄登記所に提出すること。
②登記が完了した後に通知される登記識別情報通知書及び登記完了証を受領すること
③ 登記の申請に不備がある場合に,当該登記の申請を取下げ,又は補正すること
④登記に係る登録免許税の還付金を受領すること
⑤ 上記1から4までのほか,下記の登記の申請に関し必要な一切の権限

また、何の種類の登記を委任するのか?この場合であれば、登記の目的が『所有権移転』であることや、登記原因証明情報記載の通りに従った委任内容であること、どの不動産に対する権限なのかについても記載しておくといいでしょう。

上記の法務局の例示のように、登記原因と日付、不動産の表示を書き込んでおくといいでしょう。

1-6.申請書に登録免許税と登記原因を書き込む。

ここまで来れば、各法務局のサイト⇒所有権移転(売買)登記申請書に掲載されている、申請書のひな型をダウンロードしてもらい、それぞれの記載個所に上記までの行程でまとめた、登録免許税と登記原因、さらに申請人である権利者と義務者の住所、氏名を入力していきます。

上から順に説明すると…、

登記の目的  所有権移転

原    因  令和〇年〇月〇日売買

権 利 者 (買主)の 住所と氏名 ※住民票の住所を記載します。

義 務    者 (売主)の 住所と氏名

※現在の住所を記載します、必ず登記事項証明書に乗っている住所と同じである必要があります。

※転居などしてしまい、住所が変わっている場合は、この所有権移転の登記をする前に、登記名義人住所変更登記の別の登記を申請してからでなければ所有権移転登記を申請することが出来ません。

添  付  情  報

登記識別情報(又は登記済証)

登記原因証明情報

代理権限証明情報(※買主が売り主から委任を受けた場合の委任状)

印鑑証明書(義務者の印鑑証明書)

住所証明情報(※住民票のコトですね。)

登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由

(※登記識別情報があればスルーします。ない場合のみ使います。)

□不通知 □失効 □失念 □管理支障 □取引円滑障害 □その他(   )

(※該当する理由にチェックを入れます。)

令和〇年〇月〇日申請 ○○ 法 務 局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

(登記原因証明情報と同じ法務局ですね。)

申請人兼義務者代理人

住所と氏名+押印
連絡先の電話番号00-0000-0000(※補正が発生したトキの為の連絡先)

※法務局のサイト内にのひな型の場合は、権利者(買主)が売り主側の委任を受けて申請するための様式になっています。

買主と売り主が揃って法務局に出向いて申請をする場合は、売り主側の委任状を作成しない代わりに、登記申請書の“権利者”と“義務者”の欄の住所、氏名を記載した横に押印してください。

このときの売り主の押印は必ず実印である必要があります。

課 税 価 格

土地 金○○万円(※千円未満切り捨ての金額を記入します。)
建物 金○○万円
合計 金○○万円

登録免許税

土地 金○○円(租税特別措置法72条)
建物 金○○万円

合   計

金○○円(※土地と建物とセットなど不動産が複数ある場合は、全ての登録免許税を合算してから10円単位を切り捨てます。)

不動産の表示

(※登記事項証明書の内容を正確に写します。)

参照:法務局サイト 所有権移転(売買)登記申請書

1-7.申請書に押印し、添付書面をホチキスでとめる。

権利者と義務者の欄、あるいは申請人の欄の押印以外に、訂正用の捨て印を余白に押します。

また、申請書と登録免許税分の収入印紙を貼りつけた台紙をホチキスで合綴してそれぞれに割印をします。

申請書と登記原因証明情報、住民票、委任状、印鑑証明書、評価証明書のコピー、登記識別情報のコピーを順番に纏めてホチキスで合綴します。

ちなみに登記識別情報のコピーは折りたたんで封筒に入れてから閉じこむと良いです。

1-8.受領証と原本還付の準備、法務局に提出。

上記の書類のなかでは住民票が登記申請後に完了書類と一緒に返却してもらえます。

住民票のコピーをとっておいて、余白に“原本と相違ありません”と記入して権利者の押印をしておき、こちらの方を申請書と一緒に閉じこみます。

この場合、原本の住民票は申請書と一緒にとじ込みにはしないで、“原本還付”とでもメモを張り付けて申請書と一緒にクリップで仮止めするか、クリアファイルなどへ申請書と一緒に入れて提出すれば、登記が完了したときに原本だけ返してもらえます。

また、申請書と全く同じ紙面をプリントアウトしておいて、一番上部の余白に”受領証”と表記しておけば、法務局が受付日時と受付番号を押してくれます。

1-9.完了証と登記識別情報を受け取る。

法務局の受付窓口に、提出後からおおよそどれくらいで登記が完了するを示した、完了予定日が掲載されているので、その日が来たら再び権利者(買主)は法務局の窓口に出向いて、登記の完了証と新しい登記識別情報の原本を受領します。

窓口から完了後の連絡なども無いので、自分自身でスケジュールを確認する必要があります。

ちなみに、受取時には申請書に押印した印鑑がなければ受取ができないのでご注意が必要です。

一番楽なのは、申請書に登記完了証と登記識別情報の送付先に自分の住所を記載しておりいて、あて名書きを張り付けたレターパック(赤色:520円)を申請時に同封しておけば、完了後に法務局が自宅に送ってくれるので便利です。

1-10.新しい登記事項証明書で確認をする。

登記が完了していれば、登記申請後の所有者が記載された新しい登記事項証明書が取得できるので、買主名義である自分の名前と住民票上の住所と相違が無いか確認しましょう。

ちなみに、登記がまだ完了していないときは、対象の不動産が“事件受付中”となって謄本が取れない状態になります。

法務局で聞けることは?

よく、法務局に相談に行けばやり方は教えてもらえると言われていますが、あくまで概括的な一般論の範囲に限って聞かせてもらえるといった感じになります。

なぜか、法務局に行けば、やり方を全て教えてもらえるといった誤解がひろがっているのですが、具体的な権利移転の関係であったり、持参した書類をもとに登記申請をした場合に、それで申請が通るかどうかなどの具体的な審査内容には答えられないです。

また、相談にいくのであれば実際に登記申請書を作り、添付書面もあらかたそろえた状態で行った方が、より具体的な相談になると思うので、法務局のよくある登記の相談などと照らし合わせてから法務局に相談にむかったほうがいいでしょう。

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