こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

 故人がペットを飼育していた場合、相続後に誰がそのペットのお世話をするのかを決める必要があります。他の財産と異なり、ペットには水もご飯も与え続け、トイレや散歩などのお世話も必要です。故人が1人暮らしをしていた場合には、親族には親族が引き取る必要がありますが、ペット飼育が禁止されているマンションに住んでいる場合や、ペットアレルギーにより引き取ることができない場合も往々にしてあります。

残念ながら、ペットに遺産は残せません。

「ペットに遺産を相続させてあげることはできないか?」とご相談を受けることがあります。残念ながら、法律上、ペットは「物」と扱われてしまうため、遺産を相続させることはできません。ペットは日本の法律では動産であり、相続される財産ではあるものの、相続を受ける主体になることはできません。ペット名義の預金通帳を作ってそこに遺産を振り込むということはできないわけです。

 

負担付遺贈とは?

 ペットに遺産を相続させることはできませんが、「ペットのお世話をし続けることを条件に、遺産を相続させる」と、条件付きの遺言書を作成し、相続人に世話を義務付けることは可能です。このような拘束力を持たせる遺言を、「負担付遺贈」といいます。

 しかし、遺言書だけでは、この約束がきちんと守られる保証がありません。相続後に、約束が守られるかどうかを監督する係として、前述した遺言執行者に弁護士などの法律家を就任させておくことをオススメします。遺言執行者は、もしも、相続した人がペットのお世話を放棄していると判断した場合には、裁判所に負担付遺贈の撤回を宣言し、執行者が指定した別の人に遺産を相続させることが可能です。

 このような遺言書を作成する場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談されることをオススメします。

 

負担付遺贈と負担付死因贈与の比較

負担付遺贈と似ているものに、負担付死因贈与があります。ペットのための財産を残したいと考えているなら、負担付遺贈と負担付死因贈与を比較検討してみましょう。

負担付遺贈と負担付死因贈与は、単独行為と共同行為という法的性質に大きな違いがあります。どちらを選択するか、慎重に検討をしてください。

負担付死因贈与とは?

負担付死因贈与とは、負担(ペットの面倒)を条件に、贈与者の死亡時の財産を受贈者に贈与する契約行為です。遺言と違い、死因贈与は契約のため、財産をあげる側と、財産を受ける側で契約を締結する必要があります。

解除方法の違い

負担付遺贈は、あくまで遺言なので遺言者本人の気持ちが変わればいつでも遺言を撤回してしまえば良いですが、負担付死因贈与は契約のため、解除する場合は贈与者(あげる側)と受贈者(もらう側)の合意が必要となります。
受贈者が負担の義務を履行しなかった場合は、贈与者は契約を解除することできます。贈与の条件(義務)であるペットの面倒をみることが死後になる場合は、受贈者は贈与者が亡くなるまで、負担の義務を履行する必要がなく、簡単には贈与契約の解除ができないため、契約に及ぶ際は慎重な判断が必要となるのが負担付死因贈与です。

存命中からペットの世話をお願いするなら死因贈与

飼い主が死亡したことで効力が生じる負担付遺贈と違って、負担付死因贈与であれば存命中のうちからペットの世話をお願いすることが可能です。このメリットが負担付死因贈与には大きいと思います。
ただし、契約行為で行う以上は、ペットの世話をお願いする相手方をしっかりと見極めることが重要です。

自分の飼っているペットについて、自分の死後の保証を行いたい

遺産を活用して、自分の飼っているペットの将来を保証するためには、①ペットのための遺産を適切な方法で渡すだけでなく、②ペットを安心して預けられる場所を確保すること、③いざという時にすぐに駆け付けてもらえる体制を確保すること、が必要です。①遺産(飼育費用)、②飼育場所、③見守り体制の3点がそろって初めて、いざという時にペットを守ることができると考えたほうがいいでしょう。

 もし、遺言書などがなかった場合には、相続人の話し合いで引き継ぐ相続人に対して、これから発生する飼育代分の金銭を多めに相続させてあげましょう。ペットの飼育には多額のお金がかかります。特にペットが年齢を重ねると、獣医にお世話になる機会も増えます。ペットに社会保険は使えませんので、全額自己負担となります。故人が大事に育てたペットです。相続人みんなで大事に見守っていきましょう。

 また、現在ペットを飼われている方は、自分自身に万が一のことがあったときに、お世話を引き継いでくれる人を、必ずきちんと決めておきましょう。他の財産はどうとでもなりますが、ペットだけは引き継ぐ人がいないと、最悪の場合、殺処分されてしまうかもしれません。最優先課題として、取り組むようにしましょう。

今回は、ペットに遺産を残す方法の基礎知識について、まとめてみました。

今回の記事を参考にしていただいて、負担付贈与の為の手続に取り掛かる方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、お時間等が無く、自分で手続きを実施することが難しい場合や、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産

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