こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、ここでは子供のいない独身の方の相続手続きはどうなるのか? また相続財産は、誰が承継していくのか? といった観点から、これから増加し続けるであろう、独身の兄弟の遺産相続に言及し、深く解説をしていきたいと思います。
通常的な遺産相続では、亡くなった方の家族(配偶者や子供)が遺産分割をして、財産を分け合うのが一般的ですが、今回は、独身で子供のいない兄弟の遺産相続についてスポットを当ててみます。
いままさに独身兄弟(姉妹)の相続手続きを進めなければいけない方や、ご親族に独身兄弟がいてその方の相続が心配な方など、ある程度網羅的に解説をしていきますので、ご自身の相続事案にお役立てください。
目次【本記事の内容】
- 1.増加する単身世帯
- 2.独身者が死亡した場合の相続人は?
- 3.兄弟(姉妹)間遺産相続が難しい3つの理由
- 3-1.①相続人の関係性が遠い
- 3-2.②相続人が高齢なことが多い
- 3-3.③相続財産が把握できていない
- 4.遺産分割協議の進め方
- 5.孤独死であった場合は特別な対処も必要
- 6.独身の兄弟には遺言書を書いてもらうべき
1.増加する単身世帯
未婚率の増加に伴い、単身世帯は増加傾向にあります。、その為に結果として、独身の方の相続手続きの件数もどんどん増え続けることが予想されます。(内閣府公式:高齢化の状況(第1節 3))
この点、冒頭のとおり、亡くなった方に子供がいる場合と、独身で子供のいない場合とは、相続手続きが大きく異なります。
ご親族同士の関係性によっては、かなりの手間と時間を要する面倒な遺産相続になることも多いです。
なぜ独身の遺産相続は大変なのか? これには遺産を受け取る側の相続人を選定するのが、通常の相続と比べかなり難しくなってくるからです。
2.独身者が死亡した場合の相続人は?
まずは、独身(子供なし)の方の相続人に該当する人が誰になるかについて説明をした方がいいと思います。
法定相続人決定のルール
・配偶者は常に相続人である。
・それ以外の者については、以下の順で相続人が決まる。
1番目.子供
2番目.直系尊属(親・祖父母)
3番目.兄弟姉妹
配偶者も子供もいない独身の方は、兄弟姉妹が相続人に該当するケースが多いと思われます。
また。論点はそれだけでなく、被相続人と年の近い兄弟姉妹の年齢であることがとても多いです。
その為に、兄弟姉妹の中に既に死亡している方がいることも考えられます。
その場合には、その死亡している兄弟姉妹の子供が代襲相続人となります。(※逆に、被相続人が死亡する年齢を考えると、直系尊属(親や祖父母)が相続人に該当することはあまり多くはないと思います。)
3.兄弟(姉妹)間遺産相続が難しい3つの理由
通常の子供がいるような家族の相続手続きよりも、独身兄弟の遺産相続の方が難しいことが多いです。
その理由も概ね、以下の点が大きく要因をしめてくることが分かります。
- ①相続人の関係性が遠い
- ②相続人が高齢なことが多い
- ③相続財産が把握できていない
3-1.①相続人の関係性が遠い
配偶者や子供が相続人となる場合に比べ、兄弟姉妹が相続人となる場合は、どうしても親族間の関係性が遠くなります。
兄弟姉妹が相続人に該当する場合ならまだしも、その代襲相続人(兄弟姉妹の子供※いとこの関係)が複数含まれてくると、お互いにかなり疎遠な相続関係となってしまいます。
当然、親族関係が遠ければ遠いほど意思疎通は難しくなり、遺産分割の成立が困難になる傾向になってしまいます。
3-2.②相続人が高齢なことが多い
兄弟姉妹が全員生存をしていても、その年齢はあまり離れていない場合が多くなります。
結果的に、と相続人に該当する兄弟姉妹も高齢であることが多いわけで、相続手続きや遺産分割を高齢な方が進めていかなければいけない問題が出てきます。
この点、当事者が意思疎通できないほど高齢であったり、既に認知症になっている場合は、ほぼ当事者同士で遺産分割協議を実行することが出来なくなってしまいます。
3-3.③相続財産が把握できていない
通常の相続の場合のように、一緒に生活をしていた配偶者、その子供が相続人となるような場合であれば、被相続人の財産をおおよそ把握できていることがほとんどです。
対して、兄弟姉妹が相続人となる場合だと、どうしても事前に財産がどの程度あるのか聞けていないことが多くなります。
不動産や預貯金など、どのような財産を所持していたかなど、相続財産調査から相続手続きを開始していかなければいけません。
4.遺産分割協議の進め方
上記のとおり、相続人が兄弟姉妹(またはその代襲相続人)である場合には、配偶者や子供が相続人となるケースよりも大変な思いをすることが予想できます。
ですが、複雑ではあるものの、基本的にやるべきことは同じなので、一つ一つ遺産分割協議の成立に向けて進めていくしかありません。
相続関係が疎遠であれば、先ずは、なるべく密に連絡を取り合うようにして、相続手続きを進めていきます。
特に、相続人の中に高齢な方がいらっしゃる場合であれば、年齢の若い相続人(甥姪)の方を中心に働きかけていただくほうがいいかと思われます。
もし、自分達だけで全てを解決するのが難しいなら、司法書士のような専門家に依頼をして手続きを代理してもらうことも検討してみてください。
おそらく国家資格者である第三者が間に入った方が、相続人の誰かが動くよりも他の相続人は安心して手続きを任せることができるはずです。
5.孤独死であった場合は特別な対処も必要。
手続き上の大変さだけではなく、実は、独身兄弟の遺産相続の話をするうえで、「孤独死」の話は避けて通ることはできないのが現状です。
冒頭でも、近年は、子供がいらっしゃらない独身の方の孤独死の件数が増加しています。
当事務所だけでも、孤独死で亡くなられたケースの相続相談はかなり多いです。
もしかしたら、当記事を読んでいる方の中にも、孤独死相続に直面されている方がいらっしゃるかもしれませんが、本当に孤独死事案の相続手続きは大変です。
- 孤独死した家の整理・処分
- 賃貸物件で孤独死した場合の損害賠償問題
- 借金や財産調査の必要性
- 相続放棄の検討
- DNA鑑定と遺体引き取り、など
実際に、孤独死をされたご親族様の相続では、普通の相続とは違い、上記のような手続きが必要とされるケースが出てきますので、精神的にも体力的にも辛い思いをしてしまうかもしれません。
6.独身の兄弟には遺言書を書いてもらうべき
もし独身の兄弟(姉妹)が存命で、これから遺産相続の発生に対して、対策が取れるなら、ぜひ独身で子供のいないご親族の方には、遺言書を書いてもらうようお勧めいたします。
上記のように、独身兄弟(姉妹)の遺産相続では、相続関係が疎遠になったり、遺産分割をするのが難しくなることが多いため、生存時の余裕のあるうちに、遺言書を残してもらって生前のうちから財産の承継先について確定をさせておくべきです。
有効な遺言書があれば、上記のように疎遠な相続人同士で遺産分割をする必要もなくなり、大きな労力を使うこともなくなります。
なお、この場合に関して遺言書を作るならば、自筆証書ではなく必ず公正証書遺言で作成していただくようにしてもらいましょう。
ご高齢な方が残す遺言書は、相続開始後に意思能力の点で争いになる可能性が高いです。
また、遺言書内容として、正確な文言や財産を表示方法をご存知無い場合は、相続後に遺言書が残されていても、その内容を執行できない場合が非常に多いです。
この点、公文書である公正証書遺言なら、相続が発生した後のトラブルを回避することができるからです。⇒最も確実な遺言書、公正証書遺言について。メリットとデメリットも。
まとめ
当事務所では、相続手続きや遺言書作成についてお困りのご相談者様のお話をじっくり聞いて、専門家との連携により全ての手続きを一括サポートさせていただきます。
相続・遺言の問題について、どこに相談していいのかわからないといった方は、まず当事務所までご相談ください。
親切丁寧に司法書士が対応いたします。
また、その他相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。