こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、相続において被相続人はご高齢なケースがほとんどです。その結果、被相続人ご本人だけでなく、その配偶者様など含めて、その相続人である方も、ご高齢でることが非常に多いです。

この点、ご高齢な方がいる場合の遺産分割協議の問題点として、相続人のどなたかに、認知症を発症している方がいる場合が想定されます。

具体的に問題となるのは、認知症により自分の意思を伝えたり自分の状況を理解して物事を判断できない場合、意思能力が欠如していることになり、遺産分割協議を行うことはができなくなる点です。

法律上、意思能力がない方がした遺産分割協議は無効な行為となってしまうからです。

これはタイトルの通り、認知症の場合だけに限らず、相続人が知的障害や精神障害者である場合であっても、同様の法律趣旨から、意思能力がない場合は遺産分割協議に参加できないものと考えられています。

では、認知症等の方がいるために遺産分割協議ができない場合にはどのようなデメリットがあり、手続きを進めることになるのでしょうか?

目次【本記事の内容】

1.遺産分割ができないデメリット。

通常、相続手続きでは、相続人全員で遺産分割協議を行い、話し合いのもと遺産の分け方を決めます。

法定相続分の割合で相続手続きを完結する場合もありますが、大半の場合、財産の規模や各ご家庭の事情としては、法定相続割合のままだと、相続人同士の意思が全く反映されず、合理的ではない場合が非常に多いです。(※夫の住宅不動産に妻がそのまま住み続けたい場合など。)

しかし、判断能力を欠く認知症の方がいた場合には、遺産分割をすることができません。その結果、相続人間で決めた自由な分け方をすることができなくなります。

この通り、遺産分割できないデメリットの一つとしては、法定相続分の割合でしか分割することができないことがあげられるのですが、それ以外にもデメリットは存在します。

1-1.相続税申告で不利になる。(デメリット①)

相続税が発生する場合の話です。

この場合でも、当事務所から紹介させて頂いた税理士さんに、がなるべく税金がかからないようなシュミレーションを行っていただき、その中から遺産分割案を決めます。

そして、その内容で協議し遺産分割及び相続税申告まで行って頂くことになるのですが、それでも、上記のように相続人に認知症者がいて、遺産分割をすることができない場合、かなり違った話になります。

税理士が入ろうが、法律上で決まったそもそも論として、法定相続分の割合での相続税申告をしなければいけません。

その為に、遺産分割協議をして安く相続税を配分した状態よりも、かなり高い税金を支払わなければいけない状況になります。

1-2.共有で不動産を管理することになる(デメリット②)

これまで何度も当サイトで、不動産の共有状態は望ましくない旨について説明してきましたが…、

上記の場合のように、認知症者がいて、遺産分割ができない場合には、法定相続分の割合で共有状態にするしか方法が無くなってしまいます。

とはいえ、このような場合であったとしても、相続手続きそのものは、進めなければいけないことには違いありません。

処置が難しいからと言って、そのままで放置しておくと、次の二次相続が発生し、さらに不動産の権利関係が複雑になってくるからです。

何かしらの、対策方法を検討しなければいけません。

対策方法として考えられるのは、成年後見制度を利用なのですが、これについては様々なデメリットもありますので、次の項で説明します。

2.認知症の方のために成年後見制度。

これまで何度か、当サイトでも触れてきましたが、改めて説明すると、成年後見制度とは、意思能力が不十分な方(認知症、知的障害、精神障害)を保護するための制度と言えます。

一番有効な事例で説明すると、“法律行為の取り消し”が付与されている点です。

例えば、判断能力が不十分なことをいいことに悪徳販売業者等から買いたくもない高価な物を買わさせたり、必要もないリフォーム契約をさせられたりするご高齢者の方がいると想定できます。

この点、たとえ、被後見人がだまされて高額な商品などを買わされてしまっても、“取り消し”によってこれらの方が不利益を被らないようにするための制度といえます。(※本当に望んで売買契約等をする場合には、後見人等の同意が必要とすることで法律行為をすることになります)

そして、上記のとおり、認知症の方は遺産分割(法律行為)をすることができませんので、成年後見人という代理人を定めて、その成年後見人に遺産分割を代理してもらうことで、遺産分割を成立させることができます。

この成年後見制度には、『法定後見制度』と『任意後見制度』に2種類があります。

その違いについては下記のようになります。

2-1法定後見制度

意思能力が不十分な方を保護するために、本人または親族が家庭裁判所に申立を行うことで後見人を選任してもらい、後見人が本人に代わって法律行為を行ったり同意権を与えることで本人を保護する制度です。

誰が後見人になるかは、家庭裁判所が審判で決定します。

ご親族や一般の方が、後見人になることも可能ですが、家庭裁判所の判断の結果、弁護士や司法書士が後見人に選任されることが多いです。

また、弁護士や司法書士が後見人が選任された場合は、別途、法律で定められた金額に従って、職務者に対しての報酬が発生し、被後見人の財産の中から、支払う必要が出てきます。

2-2.法定後見制度は3種類に分かれる

さらに分類すると、法定後見制度は認知症等の方の度合いに応じて3種類に分けられています。

これらの、どの種類の後見制度になるのかは、申立人が判断するわけではありません。

認知症を診断した、医師の結果判断などに依って決まってきます。

※参照:家庭裁判所の成年後見等申立の手引き

  • (1)補助…精神上の障害により判断能力が不十分な方
  • (2)保佐…精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方
  • (3)後見…精神上の障害により判断能力を欠く状態にある方

2-3.任意後見制度について

前項の、家庭裁判所に申立てを行う必要のある、法定後見制度と違い、本人に判断能力がある段階で、あらかじめご本人が信用している者と、“任意後見契約”を締結して財産管理をお願いしておくものです。(※この契約に、公正証書にする必要があります。)

ただし、この制度はあくまでも、後見が必要になる状態に備えて、元気なうちに、事前に準備しておくための制度なので、もしも、ご本人が、既に意思能力がない状態であった場合は、利用ができません。

特に今回の記事の場合だと、遺産分割協議をする必要がある時点で、ご親族が認知症にかかられた状況を想定している形になります。

結果的に、認知症対策が後手に回ることで、遺産分割協議に際しての成年後見人選任は、実務的にも、法定後見制度一択になってしまう事が非常に多いです。

まとめ

前述したように、成年後見制度を使えば、認知症の方がいらっしゃっても、遺産分割をすることができます。

しかし、成年後見制度を利用した場合を考えると、遺産分割協議を実施するという目的とは、別の問題が出てきてしまいます。

少し、内容がながくなりますので、次回の記事では、成年後見制度を採用される際の問題点や、その判断のポイントについて記載していきます。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

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