こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

前回の記事(参考⇒枚方の不動産も?相続後の空き家放置はデメリットだらけ)では、相続した空き家を放置しておくことのデメリットについて解説をしました。(前回記事:枚方の不動産も?相続後の空き家放置はデメリットだらけ)

ここでは、空き家が発生する原因となっている「相続」の部分から 空き家が発生していく背景について解説をしていきたいと思います。

また、本記事の後半でも解説しますが、空き家を相続したくないという理由で。相続放棄を検討される方も考える方も多いですが、その点についても問題があります。

本記事の内容

1.空き家発生原因は圧倒的に準備不足の相続から

そもそも売却困難な空き家がなぜ発生してしまうのか?

理由としては、親族や両親が住んでいた自宅(実家)を「相続」し、さらに、相続人たちが実家を離れ別々に暮らしている背景があるからです。

その時点で、誰もその家に住む人がいなくなり、空き家が発生してしまいます。

特に、相続人も遠方に住んでいる場合は誰も空き家を管理することができません。

結果、そのまま空き家が放置されることになり、次第に老朽化が進んでしてしまうことが空き家問題の根っこの部分でしょう。

通常であれば、遺産分割の中で誰がその空き家を相続することを決め、その人が管理していくことになりますが、処分困難な空き家の場合だと誰も取得したくないというのが本音になってきます。

すぐに買い手が見つかるような不動産であれば、困ることはないかもしれませんが、これが地方や田舎の空き家となってしまうと、すぐに買い手を見つけることができず、売りたくても売れない“負動産“となってしまう可能性もあるでしょう。

相続から3年以内の売却で空き家の特別控除もあり?

 相続で空き家になった場合に要件を満たせば、譲渡所得税3000万円の特別控除を受けることができる場合があります。
※要件の中に「3年以内に売却すること」という点がありますので、空き家として3年以上放置してしまうとこの控除が受けられないことになります。空き家の特別控除については別記事で詳細に解説をしていますので参考にしてください。

2.相続人同士で負動産を押し付けあうことに

確かに売れないような負動産は誰も欲しくないでしょう。

処分できるかどうか分からない不動産である場合も、どのように相続をすすめていくべきか判断が困るところです。

前回の記事で紹介したように、不動産は使っていなくても持っているだけで固定資産税が発生がします。

また、災害等で建物が損壊したら修理代が発生しますし、最悪なケースとしては、空き家のまま火災が発生すれば、延焼した隣地にまで損害賠償をしなければいけません。

ある程度覚悟して、タダ同然の金額で売却しても、建物取壊費用等で赤字売却になることもあります。

このように、正直言って売却困難な負動産に価値はありません。

むしろ持っているだけでマイナスになる為、誰も所有したくないと考えるのが普通です。結果、遺産分割をする中で相続人当事者たちが負動産を押し付けあうことは十分予想できます。

その為、「相続したくないならば相続放棄をすればいいかも?」
と考える方もいるのですが、その点でも問題が発生してしまいます。

3.不動産は簡単に相続放棄ができない

上記のとおり、不動産の相続を回避する手段として、相続放棄を検討するのもひとつの方法ではあります。

しかし、ここで一つ大きな問題が生じます。それは…、

相続放棄しても不動産の管理責任は残ってしまう! 

…ということです。

この根拠は、民法940条に規定されております。

(相続の放棄をした者による管理)第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

不動産の相続放棄という観点については、別の記事(参照⇒相続放棄をしても、相続不動産の管理責任からは逃げられない。)で詳しく解説しますが、相続放棄をしたとしても完全に負動産の責任から完全に逃れることはできないことが規定されています。

また同時に、相続放棄をしてしまうと不動産だけではなく、それ以外の預貯金等の全ての財産を引き継ぐことができなくなります。

その為、現預金がある場合には、それらのプラスの財産を捨ててまで、相続放棄を検討することはかなり判断が難しくなってきます。

また、仮にそれらの覚悟をしたうえで相続放棄をしたとしても、他の相続人(兄弟姉妹)、さらに次順位の相続人(叔父・叔母・いとこ)に責任を押し付ける形になりますので、相談なしに相続放棄をすすめると、親族間のトラブルに発展する可能性も高くなります。

このように、処分できない空き家(負動産)を推定相続人の誰一人として相続しないということは現実的にかなり難しいと考えられます。

その為、場合によっては、相続人の誰かが覚悟を決めて手続きに取り掛かる必要もあります。

4.負動産であれば相続登記をしなければいい?

相続放棄が難しい反面、処分に困るような不動産であれば、『当面は相続による名義変更をせず、いったん放置をしておけばいい。』と考える方がいらっしゃいますが、この点でもそう簡単に話は済みません。

まず、相続登記をしようがしまいが、相続人には固定資産税の請求がきます。さらに、不動産にトラブルが起きれば、相続人として損害賠償の責任を負う可能性があります。(外見上、相続登記が終わってないだけで、権利の実態として相続が発生しているため。)

このように、問題から背を向けたとしても責任から逃れることはありませんので、やはり空き家問題には真っ向から取り組んでいく必要があります。

ちなみに、相続登記につきましては、2024年に法改正にて義務化されることになっていますので、相続登記を放置せず名義を被相続人のままにしておくことはできなくなります。

まとめ

ここまで解説をしたように、空き家は放置するだけで様々なデメリットが起きます。

前回と合わせて説明させていただいたように、空き家と相続の関係は切っても切り離すことができない状態にあるからです。

もしも相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

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