こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
前回に引き続き、今回も親に遺言書の話を持ちかけたときのよくある返答に、どう対処すればよいのかをご紹介しましょう。
【誤解・勘違い 3】遺言は縁起が悪い
言うまでもなく、遺言は「死」を前提に残すものです。そのため、親世代の多くの人は、遺言は縁起が悪いと考えるのかもしれません。しかし、遺言は縁起が悪いどころか、残した人の気持ちを明るくすることができます。
遺言書を残すと生まれる明るい気持ちには、次のようなものがあります。
爽快感が得られる
遺言作成をサポートした方に、遺言書を残した感想をお聞きすると、ほぼ全員の方が「これでスッキリしました」と笑顔でおっしゃいます。これは、今まであれやこれやと頭の中で思い悩んでいたことが、遺言書という紙に文章化されたことによって、心の整理整頓ができたからです。
達成感が得られる
遺言を残すために法律を学んだり、財産を整理したり、人生を振り返ったり、家族のことをあらためて考えてみたり、遺言書を作り上げるまでに様々なことに向き合わなければなりません。それは簡単なことではなく、様々なことを乗り越えてカタチになった遺言書を見ると達成感が生まれます。
満足感が得られる
遺言書を残せば、自分が死んだ後でも、自分の意思を通すことができます。他の誰でもない自らが決めた計画は法的に守られて、確実に実行できると思えることが満足感につながります。
このように、遺言は心理面に良い影響を及ぼします。親が「遺言なんて縁起が悪い」と思い込んでいて遺言書を残さないでいるのなら、「遺言書を残すと気持ちがスッキリして前向きになれるみたいだよ」と話してあげてください。
【誤解・勘違い 4】遺言の内容は本当に実現されるのか?
遺言書は、残した人が死亡したときからその効力が発生します(民法985条)。当然ですが、遺言書を残した人は書いたことが実行されることを自分の目で確かめることはできないので、親が不安に感じるのも無理はありません。
もし、親が遺言の実効性について懸念していて、残すことをためらっているのなら、「負担付遺言 」という選択があります。負担付遺言とは、遺言によって財産を受け取った人に対して一定の義務を課し、もし財産を受け取った人がその義務を果たさない場合は遺言を取り消すことができるというものです。
仮に、あなたが父親、認知症の母親、国際結婚をして海外に住んでいる妹の4人家族で、父親が所有している二世帯住宅に父母と同居しているとしましょう。
将来、先に父親が亡くなれば、認知症の母親の面倒をみる役割は、あなたになることでしょう。そこであなたは妹に「もし親父が亡くなったら、母さんの面倒は自分がみるから、父親の遺産を自分が引き継いでいいか」と尋ねてみました。妹は、「今後日本に帰国する予定もないし、兄さんが母親の面倒をみてくれると安心だから、そうしてほしい」とあなたの申し出を了解しました。あなたは父親にそのことを伝え、父親が全財産をあなたに残す代わりに母親の扶養や介護をあなたに義務づける「負担付遺言」を残すように父親に提案してみましょう。
もし、あなたが負担した義務を実行しない場合は、共同相続人である妹があなたに対して義務を果たすように催促し、なお義務を果たさない場合は家庭裁判所に遺言の取り消しを請求することができます(民法1027条)。
遺言が本当に実行されるか不安で遺言書を残すことができない親には、負担付遺言を教えてあげると、これから遺言を書く父親にも安心してもらえるでしょう。
まとめ
今回の記事を参考にしていただいて、ご家族で遺言書について話し合われる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、自分で法的に有効な遺言書作成を実施することが難しい場合や、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。