こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

これまでの記事でも説明させていただきましたが、法律上は配偶者の方は、ほとんどの相続の事例で相続人となります。

では、配偶者といっても、そのご夫婦が内縁関係であった場合はどうでしょうか?

婚姻関係がなくとも、実際には同居されており、長年、生活を共にしながらご一緒に過ごされてきたのであれば、民法の配偶者が相続人となる場合の規定を、内縁の方にも適用し、相続分を与えてもいいのではないかという考えかたもできそうです。

今回の記事では、この観点について詳しくお話していきたいと思います。

目次【本記事の内容】

1.配偶者と相続の関係について確認。

当事務所の他の記事でも、何度か触れましたが、亡くなった方の配偶者は常に相続人となります(民法890条)。

それでは、ここで民法が規定している配偶者の定義とは何でしょうか?

婚姻関係は戸籍法の定めるところによって効力を生じますので、市町村などで婚姻届を提出することによって効力を生じます(民法730条1項)。

つまり、どれだけ周りが夫婦であることを認め、長年一緒に生活を共にして暮らしていたとしても、内縁の配偶者とは法律上の婚姻関係にありませんので相続人となることができません。

この点、過去の判例でも、内縁の配偶者の相続権を否定するのが考え方になっています。

「内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得るとしても、死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」

引用:(最高裁平成12年3月10日判決、最高裁判所民事判例集54巻3号1040頁)

逆に、婚姻届を提出されて、その後に現在離婚調停中であったり離婚訴訟中の状態になったとしても、現在は婚姻関係にあることに違いはありません。

そのため、この状態でどちらかが亡くなった場合には、配偶者として相続人となります。

2.内縁の配偶者の相続分は絶対に認められないのか?

前項で説明した通り、例えば内縁の夫が死亡した場合で考えると、その妻は、内縁の夫の財産を相続することは出来ないことになります。

しかし、婚姻関係にないからといって、内縁の配偶者に全く成す術が無いわけではありません。

特別縁故者としての請求する方法があります。

2-1.特別縁故者としての財産分与請求。

被相続人の相続人が誰もいない場合に、被相続人と特別の縁故があった者(被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護を努めていた者)がいれば、その者へ相続財産の一部や全部を与えられる場合があります。

(権利を主張する者がない場合)

第958条の2 前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)

第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

引用:民法 第958条の2 及び 第958条の3

ただし、これを使うためには民法第958条の2に記載のとおり「相続人が誰もいない場合」という大きな要件が伴いますので、現実的にはこの規定は最終手段として考えたほうがいいでしょう。

そのために、内縁関係であるご夫婦であれば、遺言書等を活用して財産を残す方法を検討する必要がありそうです。

3.内縁配偶者に対して遺言書で財産を渡す。(遺贈)

上記のとおり、被相続人の死後に、内縁配偶者であった方が、特別縁故者として、財産請求をするということも可能性としてはゼロではありません。

しかし、前述のように、そのためには相続人がいないことが要件となっておりますので、特別縁故者制度を利用するというのはあまり現実的ではありません。

そのため、特別縁故者としてよりも、内縁の配偶者に対して確実に財産を残してあげたいと考えるのであれば、先ずは遺言書を活用して遺贈する方法をとりましょう。

また、仮に「内縁の配偶者に全ての財産を遺贈をする。」といった文言の遺言書を作成したとしても、法定相続人には遺留分がありますので、場合によっては、被相続人の方が亡くなられた後に、相続争いが発生してしまう可能性があります。

このように争いになってしまうと、せっかく遺言を残した気持ちとしても台無しになってしまいます。

なので、遺言書を作成するにしても、死後に内縁の配偶者と相続人が揉めないよう注意しながら作成する視点も備えていたほうがいいでしょう。

また、内縁の配偶者に関わらず、財産を相続人以外に渡したい希望を持たれている方も多くいらっしゃるいます。

もしも、遺言の作成について、このような細部が分かりにくいのであれば、お近くの専門家を利用して、正確な遺言書を作成した方がいいでしょう。

当事務所は遺言書の相談も随時受け付けておりますので、お困りであれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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