― 相続でもっとも多い「家が邪魔で進まない」ケースの現実 ―
1.親が亡くなったあと、まず残るのは「実家」だった
親が亡くなったあと、相続人の前に残されるもの。
それは、預金通帳よりも、株式よりも、**圧倒的に「実家」**であることが多い。
日本の相続では、
- 相続財産の7~8割以上が不動産
- 現金・預金は葬儀費用や医療費でほぼ消えている
というケースは、決して珍しくありません。
兄弟姉妹で集まり、遺産の話をすると、
「結局、この家をどうするかだよな……」
という空気になる。
住む予定はない。
空き家のまま置いておくと固定資産税がかかる。
でも、売るとなると話が進まない。
ここから、相続は止まります。
実家がある
↓
分けられない
↓
現金が足りない
↓
誰も決断できない
↓
相続が止まる
2.なぜ「実家」があると相続は止まるのか
理由はシンプルです。
- 家は分けられない
- 現金がないと公平に分配できない
たとえば、
相続人が兄弟3人、実家の評価額が3,000万円だった場合。
- 長男が家を相続する
- 次男・三男には現金を渡す
──これが理想ですが、
家をもらう側に、2,000万円の現金がないことがほとんど。
結果として、
- 「誰も住まない家」を
- 「誰も相続したくない」状態のまま
- 名義変更もされず、放置
という最悪のルートに入ります。

3.放置された実家が生む、現実的なリスク
相続登記をせず、実家を放置すると、何が起きるか。
- 固定資産税は相続人全員に責任が残る
- 建物が老朽化し、売却価格が下がる
- 相続人の誰かが亡くなり、相続人がさらに増える
特に危険なのが最後の点です。
兄弟姉妹の誰かが亡くなると、
その配偶者や子どもが新たな相続人として入ってきます。
話し合う人数が、指数関数的に増えます。
こうなると、
「売る・売らない」以前に、
意思決定そのものができなくなるのです。
4.多くの家族が選ぶ「換価分割」という選択
こうしたケースで、現実的な解決策になるのが
**換価分割(かんかぶんかつ)**です。
換価分割とは、
- 相続人全員で不動産を相続し
- その不動産を売却し
- 売却代金を相続人で分ける
という方法。
「家そのもの」を分けるのではなく、
「現金に変えてから分ける」。
実務上、もっともトラブルが少なく、
兄弟姉妹の関係も壊れにくい方法です。
5.「売るだけ」では終わらないのが相続不動産
ここで、多くの方が誤解します。
「不動産会社に頼めば売れるでしょ?」
実は、相続不動産はそれだけでは売れません。
売却までには、最低でも次の工程が必要です。
- 相続人の確定(戸籍収集)
- 遺産分割協議の整理
- 相続登記(名義変更)
- 不動産会社との媒介契約
- 売却後の代金分配
このうち、
1〜3を正確にやらないと、4に進めません。
ここが、司法書士の仕事領域です。
6.司法書士が入ると、何が変わるのか
司法書士が関与することで、
- 相続関係を法的に整理できる
- 遺産分割協議書を「売却前提」で設計できる
- 登記と売却工程を分断せず進められる
特に重要なのが、
**「換価分割を前提にした遺産分割協議書」**です。
ここを曖昧にすると、
- 売却代金の分配で揉める
- 税務上の扱いが不利になる
- 不動産会社との話が二転三転する
という問題が起きます。
司法書士は、
売れる状態を法的に整える専門家です。
7.「実家が売れるまで」は、実は長い道のり
多くの方は、
「相続手続き=数か月で終わる」と思っています。
しかし、
- 相続人が複数
- 不動産が主な財産
- 換価分割を選ぶ
この条件が揃うと、
半年〜1年以上かかることも珍しくありません。
だからこそ重要なのは、
- 早い段階で全体像を整理すること
- 感情論ではなく、工程として進めること
そして、
最初から「売却まで見据えた専門家」に相談することです。
8.不要な実家を「負債」にしないために
実家は、思い出の場所です。
しかし、相続の現場では、負債にもなり得る存在です。
- 誰も住まない
- 売らない
- 話し合えない
この状態が一番、家族を疲弊させます。
換価分割は、
「家を手放す冷たい選択」ではありません。
家族関係を壊さず、現実的に前へ進むための方法です。
9.換価分割を前提に、司法書士に相談する意味
司法書士に相談することで、
- 「この家は売れるのか」
- 「どう分けるのが現実的か」
- 「今、何から手を付けるべきか」
が、一気に整理されます。
相続不動産は、
放置すればするほど、難しくなります。
不要な実家が「売れるまで」を、
一緒に設計する。
それが、相続実務に強い司法書士の役割です。
まとめ
相続で一番多いのは、「実家をどうするか」で止まってしまうケースです。
誰も住まない家、分けられない不動産、足りない現金。
放置すればするほど、相続人は増え、話し合いは難しくなります。
不要な実家をどう扱うかは、
「売るか・売らないか」ではなく、
どう整理すれば、家族関係を壊さずに相続を終えられるかの問題です。
換価分割を前提に、相続関係・登記・売却までを一体で設計できれば、
相続は“揉めずに終わらせること”が可能になります。
もし今、
「この家、どうすればいいのか分からない」
「兄弟で話が進まない」
と感じているなら、売却の前に一度、全体像を整理してみてください。
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