こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
前回は、“ありがた迷惑な親の遺言書の対処方法”と“遺産分けの4つの方法”について、ご紹介しました。
今回は、親が遺言書を残したかどうかわからないときの対処法をご紹介します。
親が亡くなったとき、遺言書を残したのか、それとも残さなかったのかハッキリしないときは、次の順序で遺言書を探してみてください。
①公証役場に問い合わせをする(公正証書遺言を探す)
親の公正証書遺言を作成した公証役場は、日本公証人連合会(全国の公証役場の本部)に報告をします。報告を受けた日本公証人連合会は、遺言書を残した人の氏名、生年月日、公正証書遺言の作成年月日等をデータベース化して保存します(「遺言検索システム」。ただし、遺言書の内容は含まれていない)。このシステムを利用すれば、親が公正証書遺言を作成したのかどうかすぐにわかります。
※遺言検索の申出は、無料です。
※親の生存中は遺言検索システムを利用して遺言の有無を調べることはできません。
遺言検索システムの利用手順
- 親が死亡したことおよび、死亡した子供であることを証明する戸籍謄本を入手する
- 入手した戸籍謄本を最寄りの公証役場に提出。
- なお、検索する人の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き公的身分証明書または実印および印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの))も持参のこと。
- 提出を受けた公証役場が日本公証人連合会に紹介を行う。
- 公証役場から、公正証書遺言の有無と、遺言書がある場合は遺言書を保管している公証役場についての報告がある。
- 公正証書遺言が見つかった場合は、遺言書を保管している公証役場に、公正証書遺言の謄本(写し)の交付請求をする。
②遺品の整理をする(自筆証書遺言を探す)
「遺言検索システム」を使って親の公正証書遺言が見つかった人も、念のために自筆証書遺言を探してみてください。なぜなら、遺言書が複数出てきた場合、作成した日付けが最新のものが有効になるからです。新たに自筆証書遺言が出てきた場合、「遺言検索システム」で見つけた公正証書遺言より日付が新しければ、自筆証書遺言が有効となります。
残念ながら、自筆証書遺言には検索システムはありませんので、心当たりのある場所を丹念に自分達で探すしかありません。
遺産分けの話し合いがついた後に遺言書が出てくると、話し合いが無駄になってしまうことがありますので、親が亡くなったら遺言書の有無を十分に調べることが大切です。
親の貸金庫に遺言書を預けてはいけない!
親が遺言書を残していたことがわかっていても、いざというときに見つからなければ、その役目が果たせません。よく「遺言書は貸金庫に保管する 」と言う人がいますが、その保管方法は避けた方がよいでしょう。理由は、親が死亡すると銀行は親の貸金庫を封鎖してしまうからです。
封鎖されてしまうと、子どもは親の貸金庫を開けるために面倒な手続きをしなければなりません。親の遺言書を貸金庫から取り出すために相続人全員で協議する事態になってしまいます。そうした事態にならないために次のことを守って下さい。
親が自筆証書遺言を残した場合
自筆証書遺言は、家族の誰かが慎重に保管しましょう。自筆証書遺言はこの世にたった一つしかありません。万が一無くした場合、もう一度書くことになります。コピーしておけばよいと考える人もいるかもしれませんが、残念ながら遺言書のコピーは法的に認められていません。あくまでも親が書いた「原本」のみが有効なのです。では、どのように保管するのが一番よいのでしょうか。
一番やってはいけない方法は、遺言書を書いた本人が保管することです。遺言書は親が亡くなったその瞬間から効力が生まれます。つまり、遺言書が必要なときに親はこの世におらず、遺言書の保管場所を本人に 尋ねることができません。自筆証書遺言は、親の了承を得た上で、子どもが責任をもって保管したほうがよいでしょう。
親が公正証書遺言を残した場合
公正証書遺言の場合は、「原本」は作成した公証役場の書庫に厳重に保管されます。そのため紛失するリスクがありません。
また、相続手続きの際には、原本を使用するのではなく、公正証書遺言を作成したときに公証役場から交付された「正本」または「謄本」のいずれかを使用して行ないます。
したがって、公正証書遺言の保管方法は、①子どもが「正本」と「謄本」の両方を保管するか、もしくは②子どもが「正本」または「謄本」のいずれかを保管して、親が残りの一方を保管するか、いずれかがよいでしょう。
なお、公正証書遺言の場合、仮に「正本」と「謄本」の両方を紛失しても、公正証書遺言を作成した公証役場に請求すれば「謄本」を発行してくれます。 自筆証書遺言にせよ公正証書遺言にせよ、親が亡くなったときにあなたの手元になければ、相続手続をスムーズに行うことはできないことをよく覚えておいてください。
まとめ
今回の記事を参考にしていただいて、親の遺言書探しをされる方もいらっしゃるかもしれません。一番は親が生前のうちに、遺言書の内容や保管場所についてご家族で話し合われることだと思います。
ただし、自分で法的に有効な遺言書作成を実施することが難しい場合や、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。