親が認知症になる前に、遺言書を残してもらうための第一歩を

こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

最近は終活ブームで遺言を書く方が増えてきていますが、ご高齢の方等、特に判断能力が衰えている方が遺言書を作成する際には、細心の注意を払わなければ、せっかくの遺言書が無効となったり、遺言者が亡くなった後で、一部の相続人から「ボケているのに、無理やり書かされたに違いない」、「作成された時には既に認知症だったから無効である」という主張が出てきて相続人同士のトラブルに発展することがあります。

目次

認知症になったら親は遺言書を残せない!

  法律では、遺言を残す人は、遺言をするときに一定の能力(「遺言能力」)がなければ遺言を残すことができないと定めています(民法963条)。

 遺言能力があると認められるには、残した遺言書の内容を理解し、なおかつ、その遺言によって自分が死んだときにどのような結果になるのかをきちんと理解できるレベルの能力があることが必要です。

 親が認知症になると遺言能力が認められず、遺言書は残せません。遺言能力は「遺言をするとき」にあることが必要です。たとえば、親が昨年正気で残した遺言は、今年親が認知症になってしまって遺言能力が欠けてしまっても、その遺言は法的に有効です。反対に、昨年認知症になって遺言能力がないときに親が残した遺言は、今年になって認知症の症状が回復して、その後に親が死亡したとしても、親が残した遺言は無効となってしまいます。このような場合、親が遺言能力を回復したときに、あらためて遺言を残してもらわなければなりません。

 遺言能力の有無があいまいな状態のときに親が残した遺言書は、“争族”のもとになりかねません。親がせっかく残した遺言書が、遺言能力をめぐる争いにならないために、だれが見ても元気なときに親に遺言書を残してもらうことが大切です。

「親の意思ありき」であることを肝に銘じる

  親は、遺言能力さえあれば、いつでも自由に遺言書を残すことができます。

 また、親が残した遺言書の法的効力が発生するのは親が亡くなったときです。したがって、遺言書を残したときから遺言書に効力が生まれるまで(親が亡くなるまで)は、一般に相当な時間がかかります。そのため、一度遺言を残したあとで、考えが変わる親も当然います。そこで法律では、一度残した遺言の内容を自由に変更したり撤回できる権利を親に保証しています(民法1022条)。親が遺言の撤回をするには次の三つの方法があります。

 さらに、法律では遺言を変更したり撤回できる権利をあらかじめ放棄することも禁止しています(民法1026条)。そのため、仮に親が遺言書に「この遺言書は絶対に撤回することはいたしません」と書いたとしても無意味であり、法的効力はありません。

 このように、法律では、一度残した遺言を変更・撤回をする・しないの自由を親に保証していますが、そもそも、遺言をする・しないことについても自由を保障しています。

 これらを含めて、「遺言自由の原則」といいます。これには、親が自分が死亡した後の財産の処分を自由に決めることができるという意味が含まれています。さらには、法定相続(民法900条)にとらわれることなく、財産の分け方を遺言によって自由に決めることができます。

 親に遺言について話をするときには、「親には遺言自由の原則が保証されている」ことをしっかり頭に入れて、親の意思や意見を最大限に尊重することが大切です。

相続を円満に済ませたいあまりに、親が遺言の話ない聞く耳を持たなかったりすると、感情的になって、遺言書を残すことを親に無理強いしてしまう人もいるかもしれません。しかし、親に対して遺言書を残すことを強要するようなことは絶対にしてはいけません。遺言を残す・残さないは親の自由です。

 頭では子どもの言うとおり遺言書を残したほうがよいとわかっていても、いざやろうとすると、さまざまな考えや不安なことが噴出してきて、踏ん切りがつかない親はたくさんいます。その考えや不安を親子でじっくりと聴いて、少しずつ解消してあげることが大切です。

まとめ

今回の記事を参考にしていただいて、ご家族で遺言書について話し合われる方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、自分で法的に有効な遺言書作成を実施することが難しい場合や、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

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