こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
前回は相続した空き家を売却するときに活用できる”空き家特例”のお話でした。今回は相続した株式・金地金・宝石等を売却するときの注意点についてご説明します。

株式を売却するときのポイント
株式や投資信託を売却して儲けが出た場合は、不動産の場合と異なり、所有期間に関係なく一律20.315%の税金(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。相続した株式等の場合、取得費は故人が購入した金額が引き継がれます。
相続税を払っている方であれば取得費加算の特例が使えますので、長期保有目的であっても、3年10か月以内に一度売却して、特例の恩恵を受けておき、また同じ銘柄を買い直して保有し続けるというのも1つの手です。また、利益の出ている銘柄と、損失の出ている銘柄を同一年に売却して、利益と損失を相殺するのも良い手ですね。
金地金や宝石等を売却するときのポイント
金地金や宝石、ゴルフ会員権などを売却して儲けが出た場合には、株式や不動産と異なり、売却した人のその他の所得(給与など)と合算して税金を計算する「総合課税」という方法が適用されます。そのため、高所得の人が売却した場合と低所得の人が売却した場合とで、支払う税額が大きく変わってきます。
ただし、所有期間が5年を超える場合には、売却した儲けから50万円を引き、さらに2分の1をした金額が他の所得に合算されますので、負担はそれほど大きくならないかもしれません。
また、金地金や宝石類であれば、売却する年を分散させることによって、累進税率の負担を緩和させることも可能です。ただ、次の年まで相場が今の水準を保てるかはわかりませんので、あまり税金に固執し過ぎず、売りどきを逃さないことのほうが大事ですね。
金は相続税の対象です。
そのため、被相続人が金を所有しており、その金を相続した場合は、相続財産として評価し、計上する必要があります。なぜなら、相続税は「被相続人の所有していた全ての財産に課せられる税金」だからです。
金の相続税評価額をもとめる3ステップ
では、みなさんのお手元にある金の相続税評価額はいくらなのでしょうか。
一般的な金の相続税評価額の求め方を3ステップで紹介します。
【ステップ①】買取業者に1gあたりの業者買取価格を電話で確認する
まず、金の買取業者に1gあたりの業者買取価格を電話で確認しましょう。
金は上場株式のように買取価格が毎日変動する金融商品です。
買取価格はインターネットにも掲載されていますが、過去の買取価格は2-3ヶ月程度しか閲覧できないので、買取業者に電話で確認するのが早いです。
※この際の基準日は相続開始日(被相続人が亡くなった日)です。電話をする日ではないのでご注意ください。
【ステップ②】相続した金の重さを確認する
次に相続した金の重さが何グラムか確認しましょう。
金地金にはグラム数が刻印されている場合が多いです。
【ステップ③】計算する
ステップ①とステップ②で調べた数字をもとに、以下の計算式に当てはめて計算しましょう。
計算結果が金の相続税評価額となります。

ご紹介した一般的な方法以外で評価する金製品として、日本政府が発行した記念金貨・骨董品・5万円以下の装飾品や美術品などがあります。金の買取価格を詳しく調べる際は、信頼できる買取業者に電話で聞いてみることをオススメします。
金を相続後に売却すると所得税が発生する
相続後に金を売却すると、得た利益に対して、譲渡所得として所得税が発生するケースがあります。
金を相続後に売る場合は、所得税として費用が発生するので、遺産分割をする際に不公平感がないよう配慮してください。
なお、所得税の計算式は以下の通りです。所有期間の長さで計算式が異なるのでご注意ください。
・所有期間が5年以内の場合
売却価額ー(取得価額+売却費用)ー特別控除50万円
・所有期間が5年を超える場合
{売却価額ー(取得価額+売却費用)ー特別控除50万円}×1/2
※所有期間は相続の場合、被相続人が購入してから売却するまでの期間になります
※上記の計算した金額が売却した年の他の所得と合算され所得税が計算されます
金の相場は変動しやすい
金の相場は変動しやすいです。ドルや円といった通貨や株式相場に影響されたり、大きな災害や戦争の際にも大きく変動します。
相続した時の金の相場と、売却した時の金の相場が大幅に異なるリスクもありますので、遺産分割の時に相続人の間で不公平感が出ないよう十分に注意することが必要です。

まとめ
今回の記事を参考にしていただいて、相続した株式・金地金・宝石等の売却に取り掛かる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、お時間等が無く、自分で手続きを実施することが難しい場合や、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。