こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、今回は、成年後見制度の申立手続についてご説明いたします。

成年後見制度とは、後見人(保佐人、補助人)が精神上の障害により判断能力が十分でない方々の財産管理や身上監護を行い、支援・援助するための制度です。

遺産分割協議やご本人の財産管理等で、成年後見制度の利用が必要になった場合、成年後見制度の申立手続は大変時間(概ね2~3ケ月程度)がかかるので、早めに準備に取り掛かることをオススメします。

 成年後見人等の選任申立

 法定後見人(後見、保佐、補助)選任の申立ては、被後見人となられる方、ご本人の住所地を管轄する、家庭裁判所に申立てをします。

申立人になれるのは、本人、配偶者、四親等内の親族等に限られます。

成年後見人等には、親族に限らず、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家が選任される場合もあります。

成年後見人等になるための特別な資格などは特にありませんが、成年後見人等は、申立てのきっかけとなったこと(不動産の取引や遺産分割協議、金銭の貸し借りなど)が終わった後も、本人が亡くなるか、判断能力が回復するまで職務が継続することになるため、注意が必要です。

また、一度、申立書を提出すると、本人の死亡等など特別の理由が無い限り、審判の停止や申立書を取り下げることは出来ません。

 選任手続きには、申立手数料として800円、登記手数料として2600円分の収入印紙が必要になります。また、収入印紙の他に、家庭裁判所から申立の内容についての関係者との、連絡用切手も提出することなります。

申立書には、予め医師の診断書を付けるのですが、本人に判断能力がどの程度あるか、家庭裁判所側から医学的に判定するため必要であると判断された場合には、別途、“鑑定”と呼ばれる手続きが行われる場合があります。この場合になると、鑑定費用として10~20万円の費用が申立人に発生します。

必要書類

  • 後見・保佐・補助開始等申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録およびその資料
  • 相続財産目録及びその資料 
  • 診断書
  • 本人の戸籍謄本、住民票(マイナンバー表示のないもの。)

 下記のまとめに紹介しますが、成年後見人等の申立てを行うための「後見・保佐・補助開始等申立書」は裁判所のホームページから入手が可能です。

選任の流れ

 一般的な選任までの流れは、概ね次の通りになります。

 申立てがされると、家庭裁判所は、必要書類がすべて揃っているか、必要な事項がきちんと記載されているか、を審査します。

書類の内容によっては、本人や親族に、成年後見人等候補者の申立てに至った事情などを面接し、照会することもあります。

 また、本人の判断能力を判定するために行う鑑定は、申立て時に提出する診断書とは別に、家庭裁判所が医師に鑑定を依頼し、実施されます。

法律上、原則、鑑定が必要ではあるのですが、診断書の内容などに応じて、省略される場合も多いです。

 さらに、本人の意思を尊重するため、本人の状態によっては、申立て内容などについて本人からの意見を伺う本人調査や成年後見人等候補者の適格性に関する調査もあわせて実施される場合があります。(※既に寝たきりで意思疎通できない場合や、申立開始時に本人の意向が確認不可の場合も多いです。)

 鑑定や調査が終了すると、家庭裁判所は、後見等の開始を審判し、最も適任と思われる成年後見人等を選任します。その後、後見等開始審判の確定を待って、家庭裁判所が、法務局に審判内容を登記してもらうように依頼し、成年後見人等の職務が開始されます。

後見人が決定されますと、例え、申立人が候補者として申請した人物が成年後見人になれず、家庭裁判所が選任した、後見人に不服が在っても、取り下げや取消、変更を求める事は出来ません。

あくまでも、被後見人本人の為の制度である上に、誰が後見人(保佐人・補助人)にふさわしいかは、家庭裁判所が決定する為です。

 一般的に、申立てから審判までおおむね1か月~2か月かかるといわれていますが、申立をした事案の内容に応じては、2カ月以上かかるケースもあります。(※財産の調査や戸籍等の調書取得の時間を含めると、3ケ月ほど時間がかかる事を想定したほうがいいかもしれません。)

その為に、遺産分割協議等で相続手続きの為に、成年後見人等の選任が必要な場合は、相続税等の申告期限に間に合うよう、余裕をもって手続きを開始する必要があります。

 家族は後見人になれるか?

 弁護士や司法書士等の専門家が後見人となる場合には、月額2万円~6万円ほどの手数料が発生します。

後見制度は一度開始すると、本人が亡くなるか、判断能力が回復するまでとやめることはできません。そのため、できるだけ費用を抑えるべく、親族を後見人に選任したいと考える方が多いです。

 しかし、親族後見人による財産の横領事件が多発しているのも現実であるため、法定後見制度の場合、且つ、被後見人本人に、数千万円以上の財産があるような場合には、親族ではなく専門家が選任される可能性が高いです。

その点、当事者意思が健在な時点で作成される、任意後見制度であれば、好きな親族に任せることができます。

必ず先を見越して対策を考えていく必要があります。

まとめ

今回は、認知症や障害を持った相続人がいる場合、実際に成年後見制度を利用するにあたっての申立手続について、まとめてみました。

今回の記事を参考にしていただいて、ご自身で成年後見制度の申立手続に取り掛かる方もいらっしゃるかもしれません。

下記の、裁判所のホームページに成年後見制度の申立てについて詳しく案内されていますので、ご自身で申立て手続きを進めることも可能です。

参考:家庭裁判所 手続案内及び各種書式

ただし、お時間等が無く、自分で手続きを実施することが難しい場合や、それ以前に、本当に成年後見制度の適用が、自分たちの家族に適しているか?等でお悩みなら、ご自身で着手される前に、当事務所まで是非ご相談ください。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

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