こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
前回の記事より、相続登記の前の段階である、相続の開始であるご臨終から、相続に関して必要な手続きが完了するまでの、一連の流れについての情報を取りまとめてみました。
ご臨終の迫った、ご家族様にとしても、近親者の死亡はごく日常から発生する話でも無く、『突然、家族の亡くなる日を迎えてどうしたらいいのか分からなかった。』と仰る方は多いです。
各ご家庭の事情に応じて、若干、実施される内容は異なっては来るでしょうが、今回の記事では、被相続人や、外国に住んでる相続人の住所票と印鑑証明書の取得方法ついて、まとめてみましたので、どうぞ、ご参考いただければと思います。
住民票の写しの取得
相続手続のさまざまな場面で住民票が必要になります。
相続人が現在どこに住んでいるのかを明確にするために必要な相続人の住民票と、故人が最期にどこに住んでいたのかを明確にするために必要な故人の住民票(これを除票といいます)の2種類が存在します。いずれの住民票も、住所地が登録されている市区町村役場で取得することができます。
特に、被相続人の住民票(※住民票の除票)については、相続登記を申請する上で、現在の登記簿上の被相続人の住所と、実際上の最終住所を照らし合わせて、申請を予定する被相続人と登記簿上の人物との同一性を確認するために、必要になってきます。
※もしも、被相続人である方の転居履歴が多く、住民票除票にある最終住所、もしくは前住所記載の住所だけでは、登記簿上の住所と一致を見ない場合は、戸籍の附票を取る必要があります。
なお、住民票には本籍地とマイナンバーを記載するか選択することができます。手続ごとに必要になるタイプが異なるのですが、迷ったときは「本籍地有り、マイナンバー無し」と、「本籍地有り、マイナンバー有り」の2種類を取得しておくのがオススメです。
故人の住民票(除票)の取得
故人の住民票(除票)を取得する際は、窓口に行く人の本人確認書類の他に、取得する理由ごとに必要書類が異なります。
また、役所によって必要書類が変わることがありますので、窓口に行く前に電話で確認することをオススメします。
●相続手続のために取得する場合
故人と請求者の関係がわかる書類(戸籍謄本など)
●死亡保険金の受け取りのために取得する場合
請求者が受取人として記載されている保険証書
なお、紛らわしい話ですが、役所で発行を受ける住民票の正式名称は、「住民票の写し」です。つまり、銀行などから「住民票の写しを提出してください」と言われた場合には、コピーではなく、原本を提出する必要がありますのでご注意ください(住民票のコピーは、「住民票の写しの写し」となります)。
印鑑証明書の取得
相続人の印鑑証明書も、遺産分割協議書の添付文書として金融機関や、法務局で提出が求められます。
印鑑証明書は、相続人の住所地の市区町村役場で、印鑑証明書(印鑑カード)を提出することによって取得することができます。相続手続が複数ある婆は、同時並行で進められるよう、2通以上取得しておくと便利となります。
原則、本人が窓口に行かないと取得できない
なお、郵送での発行は原則として認めておりません、本人が窓口に足を運ぶ必要があります。
代理で取得する場合には、本人の住所、氏名、生年月日などを印鑑登録証明書交付申請書に記入のうえ、受付窓口で本人の印鑑登録証を呈示する必要があります(その際、本人の住所、氏名、生年月日などが正しく記入されていない場合は発行を受けられません)。
マイナンバーカードをお持ちの方であれば、コンビニ発行の印鑑証明書でも有効です。
相続手続きで使用する印鑑証明書には、発行からの有効期限が設定されている点に注意が必要です。
銀行や証券会社などで行う手続きの場合は、発行から6か月以内であることが多いです。(※各金融機関に要確認)
銀行ローン等の借入金に関する手続の場合は3か月以内に設定されていることが一般的です。
通常の相続登記に使用する、遺産分割協議書に対する印鑑証明書および、相続税申告で提出する印鑑証明書には発行期限はありませんので、相続発生前に取得したもので問題ありません。
相続人が外国に住んでいる場合
外国には、日本の印鑑登録のような制度がない国がほとんどです。日本で相続手続をする際、相続人全員の印鑑証明書が求められた場合、外国に住む相続人の分は、どうすればよいのでしょうか。
例えばこの場合、相続人が海外に居住しているとなった状況でも、遺産分割協議に参加する必要があります。
遺産分割には全員の合意が必要であるため、海外在住者の相続人を除外した遺産分割協議は無効となります。
この点、話し合い自体は、電話やメール、テレビ電話などを活用して話し合いを進めることができるので、紛争性自体がない場合や、親族間同士でわだかまりがない、通常の遺産分割であれば、問題は無いように思われます。
しかし、印鑑文化の無い諸外国在住者に関しては、当然、遺産分割協議書の内容を証明する、印鑑や、その押印が実印であることを証明する、印鑑証明書自体が無いというトラブルが発生します。
こういったケースにつきましては、外国の日本大使館や領事館などで、印鑑証明に代わるサイン証明(署名証明)書を取得することによって、相続手続が可能になります。
海外相続人についての必要書類(遺産分割協議書の場合)
- 宣誓供述書※・・・日本の国籍を離籍した元日本人に必要(例:現アメリカ国籍の方など)
- サイン証明書・・・印鑑証明書の代わりになるもの、在外国の大使館・領事館※で取得します。
- 在留証明書・・・住民票の代わりになるもの、不動産の名義人になる方の相続登記等に必要です。
※宣誓供述書:アメリカ公証人の面前で、宣誓陳述し、この内容を公証人に書面で作成してもらいます。交渉人に対して有効なレベルで英語で対応できる方自身が、遺産分割協議書の翻訳を行い(日本語から英語に)、宣誓供述書の内容自体を、遺産分割協議証明書の内容として作成されたものであれば、その宣誓供述書そのものを遺産分割協議証明書として使用できることになります。 ただ、この場合は、アメリカ公証人の作成した宣誓供述書は当然英文であるので、これを持って不動産登記等を申請する場合は、当然、日本語に翻訳したものも必要になります。(よく質問されるのですが、翻訳者については、それが誰であるかの資格制限は特にありません。誰でも翻訳することができます)
また、サイン証明、宣誓供述書の発行の仕方には2種類あります。(※重要!)
単純に、日本語で作成された遺産分割協議証明書をアメリカ公証人に持参し、アメリカ公証人の面前で、この遺産分割協議証明書に相続人自身で署名する方式です。(※サインと共に拇印を押すことも多いです。)
この場合、海外相続人本人が署名した遺産分割協議証明書に、アメリカ公証人の認証文(日本語に翻訳する必要がある)を付けてもらいます。
この、署名した遺産分割協議書に対して出される公証人認証文書を、紙一枚のまま単純に作出されたものが渡される場合と、署名した遺産分割協議書と公証人認証文書を、互いに糊づけをしたうえで公証人の割印を押すタイプのものがあります。
手続の種類によって、必要となるタイプが異なりますので、必ず事前に確認する必要があります。(基本的に不動産登記に関しては言えば後者のタイプが必要とお考え下さい。不動産登記を申請する管轄法務局の判断にも拠りますので、司法書士へのご相談をお勧めします。)。
※特に、在外国、在住先によっては、最寄りの大使館・領事館が在住地から丸1日、複日かかる場所にしかないというケースもザラにあります。せっかく、異国の地で多大な苦労を重ねて取得した、サイン証明が使い物にならないとなれば、これはカナリ、落胆が極まりない無いため、事前の確認が必要です。
ちなみに、外国でサイン証明を受けなくても、相続人が一時帰国することが可能である場合には、帰国の際に日本国内での公証役場に在留証明書を提出すれば、遺産分割協議書を有効なものにしてもらうことが可能です。
まとめ
当事務所では相続手続きのサポートを積極的に行っております。
ご葬儀が無事に済みまして、もしも、預貯金や不動産の相続手続きが必要な場合には、まずはお気軽に当事務所へご相談ください。
相続開始の初期にご相談を頂ければ、相続財産の手続きに先立ちまして、対応方法の全体像をお伝えすることが可能です。
他にも、相続した不動産の売却処分(換価分割)でもお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。